自動詞について確認しよう
自動詞の定義と基本的な特徴
自動詞は、動作や状態が主語だけで完結し、直接目的語を必要としない動詞です。
- 自動詞の基本構造: 主語 + 自動詞
- 例:
The sun **rises** in the east.
(太陽が東から昇る。) He **ran** fast.
(彼は速く走った。)
自動詞は、動作の対象を示す名詞(目的語)を直接取ることはできません。もし、場所や時間を付け加えたい場合は、in
, at
, on
, to
などの前置詞を介して情報を加えます。
他動詞との違い
自動詞を理解する上で、他動詞との違いを把握することが非常に重要です。
自動詞 | 他動詞 | |
目的語 | 不要 | 必要 |
動作の方向 | 主語の中で完結 | 主語から目的語へ向かう |
例 | I **walked**. (私は歩いた。) | I **walked** my dog. (私は犬を散歩させた。) |
The door **opened**. (ドアが開いた。) | He **opened** the door. (彼がドアを開けた。) |
自動詞と他動詞のどちらにもなる動詞
英語には、文脈によって自動詞にも他動詞にもなる動詞が多くあります。この場合、目的語があるかどうかで意味が異なります。
- 例:
stop
- 自動詞:
The car **stopped**.
(車が止まった。) - 他動詞:
He **stopped** the car.
(彼が車を止めた。)
- 自動詞:
- 例:
grow
- 自動詞:
The tree **grew** quickly.
(その木はすぐに育った。) - 他動詞:
They **grew** vegetables.
(彼らは野菜を育てた。)
- 自動詞:
- 例:
leave
- 自動詞:
He **left** at noon.
(彼は正午に出発した。) - 他動詞:
He **left** his wallet at home.
(彼は家に財布を置き忘れた。)
- 自動詞:
目的語を取るように見える自動詞
自動詞は目的語を直接取りませんが、live a happy life
のように、動詞と意味が関連する名詞を「目的語」のように取る場合があります。これは「同族目的語」と呼ばれ、厳密には自動詞の範疇です。
I **dreamed** a strange dream.
(私は奇妙な夢を見た。)He **lived** a long life.
(彼は長生きした。)
受動態にできない自動詞
自動詞は目的語を持たないため、受動態にすることはできません。受動態は「目的語 + be動詞 + 過去分詞」という形をとるため、自動詞ではこの文法構造が成立しないのです。
- 間違い:
The bed was slept on by the dog.
- 正しい:
The dog slept on the bed.
(犬はベッドの上で寝た。)
他動詞について確認しよう

他動詞の定義と基本的な特徴
他動詞は、動作が主語から直接目的語に及ぶ動詞です。つまり、文を成立させるために目的語を必要とします。
- 他動詞の基本構造: 主語 + 他動詞 + 目的語
- 例:
He **kicked** the ball.
(彼はボールを蹴った。)- この文では、
kicked
(蹴った) という動作が、ball
(ボール) という目的語に直接向けられています。
- この文では、
他動詞は、動作の対象を明確にする役割があり、目的語がなければ文の意味が不完全になります。「He kicked.」(彼は蹴った。)だけでは、「何を?」という疑問が残りますね。
自動詞との違い
他動詞を理解するためには、自動詞との違いを把握することが不可欠です。
他動詞 | 自動詞 | |
目的語 | 必要 | 不要 |
動作の方向 | 主語から目的語へ向かう | 主語の中で完結する |
例 | I **read** a book. (私は本を読んだ。) | I **read** all night. (私は一晩中読書をした。) |
- 上の例で、他動詞の
read
は、a book
(本) という目的語が必要です。 - 一方、自動詞の
read
は、all night
(一晩中) という時間を示す副詞を伴っていますが、目的語は必要ありません。
他動詞の活用と応用
受動態
他動詞は、目的語を持つため受動態にすることができます。受動態は、「目的語 + be動詞 + 過去分詞」という形をとり、動作が目的語に対して行われることを強調します。
- 能動態 (Active voice):
A dog **chased** the cat.
(犬が猫を追いかけた。) - 受動態 (Passive voice):
The cat **was chased** by a dog.
(猫は犬に追いかけられた。)
目的語を2つ取る他動詞
一部の他動詞は、目的語を2つ取ることができます。これらは**「与える」や「教える」などの意味を持つ動詞で、「誰に(間接目的語)」と「何を(直接目的語)」**の2つの目的語を必要とします。
- 主語 + 動詞 + 人 + モノ
I **gave** her a present.
(私は彼女にプレゼントをあげた。)
- 主語 + 動詞 + モノ + to/for + 人
I **gave** a present **to** her.
(私はプレゼントを彼女にあげた。)
他動詞にも自動詞にもなる動詞
英語には、目的語があるかないかで意味が変わる動詞が多数存在します。
動詞 | 他動詞 | 自動詞 |
start | She **started** the car. <br>(彼女は車を始動させた。) | The car **started** moving. <br>(車が動き始めた。) |
open | He **opened** the door. <br>(彼はドアを開けた。) | The door **opened** slowly. <br>(ドアがゆっくりと開いた。) |
使役動詞について確認しよう
使役動詞は、主語が他の人に何かをさせるという意味を表す動詞です。主に make, have, let の3つが代表的で、これに準ずる help も含めて説明します。

1. make (〜に無理やり…させる)
強制的なニュアンスが最も強く、相手の意思に反して行動をさせる場合に用いられます。
My mother made me clean my room.
(母は私に部屋を掃除させた。)
2. have (〜に…してもらう)
責任や役割として何かをしてもらう場合に用いられます。報酬を払うなどの依頼のニュアンスが含まれることもあります。
I had a mechanic fix my car.
(私は整備士に車を直してもらった。)
3. let (〜に…させてあげる)
許可を与える場合に用いられます。
My father let me use his car.
(父は私に車を使わせてくれた。)
4. help (〜が…するのを手伝う)
使役動詞ではありませんが、原形不定詞を伴って「手伝う」という意味を表す動詞として使われます。to
を付けてもOKです。
He helped me carry the boxes.
(彼は私が箱を運ぶのを手伝ってくれた。)
使役動詞の文型
使役動詞の後に続く動詞は、原則として原形不定詞です。
主語 + 使役動詞 + 目的語 + 原形不定詞
例文: She **made** me **laugh**.
(彼女は私を笑わせた。)
使役動詞に関連する長文を読んでみよう

テーマ:新しいスマートフォン
英語: I recently bought a new smartphone, so I asked my friend to teach me how to use it. He was very kind and showed me how to use various apps and how to customize the settings. Thanks to his help, I was able to master my new smartphone in no time.
日本語訳: 私は新しいスマートフォンを買ったので、友人に使い方を教えてもらうことにした。彼はとても親切で、私に様々なアプリの使い方や設定方法を教えてくれた。私は彼の助けのおかげで、すぐに新しいスマートフォンを使いこなせるようになった。
使役動詞を使った文:
- I asked my friend to teach me.
- (友人に教えてもらうよう頼んだ)
- He showed me how to use various apps.
- (様々なアプリの使い方を教えてくれた)
- I was able to master my new smartphone.
- (新しいスマートフォンをマスターできた)
テーマ:旅行の準備
英語: I’m going on a trip overseas next week, so I asked a travel agency to book my flight and hotel. I also asked a friend to give me a ride to the airport. I’m fully prepared and looking forward to a wonderful trip.
日本語訳: 来週、私は海外旅行に行くので、旅行代理店に航空券とホテルを手配してもらった。また、友人に空港への送迎をお願いした。万全の準備をして、楽しい旅行にしたいと思っている。
使役動詞を使った文:
- I asked a travel agency to book my flight and hotel.
- (旅行代理店に航空券とホテルを手配してもらった)
- I asked a friend to give me a ride.
- (友人に送迎をお願いした)
テーマ:会社のプロジェクト
英語: My boss asked me to take charge of a new project. Since I’m still inexperienced, I asked a senior colleague for advice. He taught me how to proceed with the project and what to watch out for. Thanks to his advice, I’ve been able to make smooth progress on the project.
日本語訳: 上司は私に新しいプロジェクトを担当するように依頼してきた。私はまだ経験が浅いので、先輩社員にアドバイスを求めた。彼は私にプロジェクトの進め方や注意点を教えてくれ、私は彼のアドバイスのおかげでスムーズにプロジェクトを進めることができている。
使役動詞を使った文:
- My boss asked me to take charge of a new project.
- (上司は私に新しいプロジェクトを担当するように依頼してきた)
- I asked a senior colleague for advice.
- (先輩社員にアドバイスを求めた)
- He taught me how to proceed with the project.
- (彼は私にプロジェクトの進め方を教えてくれた)
使役動詞のポイント
- make + 人 + 動詞の原形: ~に~することを強制する
- have + 人 + 動詞の原形: ~に~させる、~してもらう
- let + 人 + 動詞の原形: ~に~することを許可する
- get + 人 + to不定詞: ~に~してもらう(説得など)
その他
上記はあくまで一例です。様々な場面で、使役動詞を用いることで、より自然で豊かな表現が可能になります。
例文作成のポイント
- 具体的な状況: どのような状況で、誰に何をしてもらうのか、具体的に描写しましょう。
- 多様な使役動詞: make, have, let, get などの様々な使役動詞を使い分けましょう。
- 他の文法との組み合わせ: 時制、態、副詞など、他の文法事項と組み合わせて、複雑な表現に挑戦してみましょう。
よりレベルの高い文章を作成したい場合は、以下の要素を取り入れてみましょう。
- 仮定法: If I were you, I would have him fix the computer. (もし私があなたなら、彼にコンピューターを修理させます。)
- 受動態: I was made to work overtime. (私は残業させられた。)
- 完了形: She has had her hair dyed many times. (彼女は何度も髪を染めてきた。)
原形不定詞の基礎を確認しよう!
①< make/ let / have + 目的語 + 原形不定詞 >
「…に~させる」を表現するときに用いる。
・That behavior made him get angry.
(その行動が彼を怒らせた。)
・Please let me know what to do.
(どうすればいいのか教えてください。)
<have + 目的語 + 原形不定詞>は、「~させる」の意味があり、上の立場の人が使う場面が多い。
②<let + 原形不定詞 + 目的語>
letがgoやdropなどと結びついて、慣用句を作り、句動詞として働く形がある。
・Tom let pass the oppotunity to get marry.
(トムは結婚をする機会を見逃した。)
let drop(落とす) let fall(落とす) let fry(発射する) let go(開放する) let pass(見逃す) let slip(口を滑らせる)
など
使役動詞を確認しよう
使役動詞の基礎を固めましょう!以下の問題に挑戦してみてください。
問題形式:空欄に適切な語句を入れなさい。
- 母は私に早く寝るように言った。 My mother made me [ ] to bed early.
- 彼は私にその本を読ませた。 He had me [ ] the book.
- 先生は生徒たちに教室を掃除させた。 The teacher made the students [ ] the classroom.
- 父は私にピアノを弾かせた。 My father had me [ ] the piano.
- 私は友人に窓を開けてもらった。 I had my friend [ ] the window.
解答と解説
- go make + 目的語 + 原形不定詞で「~に~させる」
- read have + 目的語 + 原形不定詞で「~に~させる」
- clean make + 目的語 + 原形不定詞で「~に~させる」
- play have + 目的語 + 原形不定詞で「~に~させる」
- open have + 目的語 + 原形不定詞で「~に~してもらう」
ポイント
- make, have はどちらも「~させる」という意味ですが、ニュアンスが少し異なります。
- make は強制的なニュアンスが強い。
- have は依頼や手配のニュアンスが強い。
- let も使役動詞ですが、意味は「~させる」ではなく「~するのを許可する」です。
- 使役動詞の後に来る動詞は必ず原形不定詞です。
その他の練習問題
- 英訳問題:
- 私は彼に手紙を書かせた。
- 先生は生徒たちに静かにさせました。
- 選択問題:
- She made me ( go / to go / going ) home early.
- He had his car ( repair / repaired / repairing ) yesterday.
さらに学びたい方へ
- 使役動詞の受動態:
- I was made to clean my room. (私は部屋を掃除させられた)
- make の特別な用法:
- It makes me happy. (それが私を幸せにする)
- have のその他の意味:
- I had my hair cut. (私は髪を切った)
まとめ
使役動詞は、英語の文章を書く上でとても重要な文法項目です。この基礎問題を通して、使役動詞の基本的な使い方をマスターしましょう。
応用編はこちらから
使役動詞の応用レベルを確認しよう!
応用レベルでは、より複雑な文構造やニュアンスの違い、そして他の文法事項との組み合わせなど、より深く掘り下げていきます。
1. 使役動詞の受動態
- 基本形: be made/had/let to do
- 例: I was made to clean my room.(私は部屋を掃除させられた。)
- ポイント: 使役動詞の受動態では、原形不定詞が to不定詞に変わります。
2. getを使った使役表現
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【3分で応用を確認:文法編】使役動詞について | てばっち教育研究所 (tebatch.com): 【使役動詞:長文】自動詞と他動詞、使役動詞について確認し、使役動詞を活用した「英語長文」に慣れよう!