関係代名詞とは?
関係代名詞は、二つの文を繋ぎ、直前の名詞(先行詞)を修飾する形容詞節(関係代名詞節)を導く役割を持つ代名詞です。この節全体が、先行詞に「〜する(した)ところの」という情報を付け加えます。
関係代名詞は、自身が関係代名詞節内で主語、目的語、所有格のいずれかの役割を果たしているため、その節は必ず不完全な文になります。
先行詞 (名詞)+関係代名詞+不完全な文(関係代名詞節)
種類と機能
関係代名詞は、先行詞が「人」か「物・事」か、そして節内でどんな「格」(役割)を持つかによって使い分けられます。
| 関係代名詞 | 先行詞 | 節内での役割(格) | 節内での位置 |
| who / that | 人 | 主格 | 動詞の主語となる (省略不可) |
| whom / who / that | 人 | 目的格 | 動詞や前置詞の目的語となる (省略可能) |
| which / that | 物・事 | 主格 | 動詞の主語となる (省略不可) |
| which / that | 物・事 | 目的格 | 動詞や前置詞の目的語となる (省略可能) |
| whose | 人・物・事 | 所有格 | 名詞の前に置かれ「〜の」となる |
1. 主格(who / which / that)
節内で主語となり、その直後に動詞が続きます。
- 人: The man who lives next door is kind. (隣に住んでいる男性は親切だ。)
- 物: This is the book whichcosts 2,000 yen. (これは2,000円かかる本だ。)
- 主格は省略できませんが、「主格の関係代名詞 + be動詞」はまとめて省略可能です。
- The boy (who is) playing soccer is my son.
- 主格は省略できませんが、「主格の関係代名詞 + be動詞」はまとめて省略可能です。
2. 目的格(whom / which / that / 省略)
節内で動詞や前置詞の目的語となります。このため、関係代名詞の後ろには「主語 + 動詞」が続きます。
- 人: She is the friend whom I met yesterday. (彼女は昨日私が会った友達だ。)
- 物: The bag which I bought is red. (私が買ったバッグは赤い。)
- 目的格は省略可能な場合が多く、日常会話ではほとんど省略されます。
3. 所有格(whose)
先行詞と節内の名詞の関係が「〜の」であることを示します。whose の後には必ず名詞が続きます。
- I know a girl whose father is a lawyer. (私は父親が弁護士である女の子を知っている。)
その他の重要な関係代名詞と用法
4. 関係代名詞 what
what は先行詞を含んだ関係代名詞で、「〜すること」や「〜するもの」という意味を表します。これは名詞節を作り、文の主語や目的語になります。
- what=the thing(s) which
- I can’t believe what he said. (彼が言ったことが信じられない。)
5. 制限用法 vs. 非制限用法
関係代名詞節は、コンマ(,)の有無で意味合いが異なります。
| 用法 | 形式 | 意味 | that の使用 |
| 制限用法 (限定) | コンマなし | 先行詞を特定・限定するのに必須の情報。 | 使用可能 |
| 非制限用法 (補足) | コンマあり | 先行詞についての補足的な情報を付け加える。 | 使用不可 |
- 非制限用法の例: I received a gift, which made me happy. (私は贈り物を受け取ったが、それが私を幸せにした。)
6. that の特別な使用
thatは、非制限用法以外では、who や which の代わりにいつでも使えます。- 特に先行詞に最上級や
all,only,the firstなどの限定語が付く場合、または先行詞が**「人」と「物」の複合**である場合に好んで使われます。
関係代名詞のthatが好まれるとき
関係代名詞の that は、先行詞が人(who)でも物(which)でも使える便利な単語ですが、特に以下の状況では that を使うことが好まれたり、あるいは強く推奨されたりします。

1. 先行詞が限定的な語句を伴うとき
先行詞が非常に限定的である、または強調されていることを示す語句を伴う場合、that が好まれます。
a. 最上級を含む場合
先行詞が最上級(the best, the largest, the most interesting など)で修飾されているとき。
- This is the most beautiful view that I have ever seen. (これは私が今まで見た中で最も美しい景色だ。)
b. 序数(the first, the last など)を含む場合
先行詞が「最初」「最後」などの序数で修飾されているとき。
- She is the first person that told me the news. (彼女はそのニュースを教えてくれた最初の人だ。)
c. 限定的な意味を持つ語を含む場合
all(全て)、only(唯一の)、any(どれでも)、every(あらゆる)などの限定的な意味を持つ語が先行詞に含まれるとき。
- All that you need is love. (あなたが必要とする全ては愛だ。)
- He is the only student that understands the complex theory. (彼はその複雑な理論を理解している唯一の生徒だ。)
2. 先行詞が「人」と「物」の複合であるとき
先行詞が「人」と「物」の両方を含む場合、who(人)と which(物)のどちらも使えないため、両方に使える that を使います。
- We talked about the people and the events that shaped the city’s history. (私たちは、その街の歴史を形作った人々や出来事について話した。)
3. 先行詞が疑問代名詞のとき
先行詞自体が who や what のような疑問代名詞である場合、文頭の疑問詞と区別し、文の構造を明確にするために that が使われます。
- Who that knows her can believe that story? (彼女を知っている人で、誰がその話を信じられるだろうか。)
4. 形式的な場面や口語での一般性
目的格の関係代名詞が省略できる場合、あえて残すときには that が whom や which よりも口語的で一般的によく使われます。
- This is the movie that I watched yesterday. (これは私が昨日観た映画だ。)
⚠️ ただし、that が使えないのは「非制限用法」のみ
前述の通り、that は多くの場面で使われますが、コンマ(,)を伴う非制限用法では絶対に使うことができません。
- × My new bicycle, that is expensive, was stolen.
- ✓ My new bicycle, which is expensive, was stolen. (私の新しい自転車は高価だが、盗まれた。)
関係代名詞の目的格(whom, who, which, that)は、関係代名詞節の中で動詞または前置詞の目的語の役割を果たす代名詞です。先行詞の直後に置かれ、その後に「主語 + 動詞」が続きます。
関係代名詞の目的格を確認しよう!

1. 基本的な使い方と構造
目的格の関係代名詞が導く節は、先行詞(直前の名詞)に「〜が〜したところの」という情報を付け加えます。
先行詞 (名詞)+関係代名詞(目的格)+主語+動詞+⋯
📌 種類と先行詞
| 関係代名詞 | 先行詞 | 節内での役割 | 例文 |
| whom / who / that | 人 | 動詞・前置詞の目的語 | The man whom I met yesterday is my boss. |
| which / that | 物・事 | 動詞・前置詞の目的語 | This is the picture which I took last summer. |
📌 whom, who, that の使い分け(人)
| 関係代名詞 | 特徴 | 使用頻度 |
| whom | 文法的に最も正しい形。主に書き言葉やフォーマルな場面で使用。 | 低い |
| who | 日常会話やカジュアルな書き言葉で whom の代わりに使われる。 | 高い |
| that | who/whom の代わりに広く使われる。 | 高い |
2. 目的格の最大の特徴:省略(ゼロ関係代名詞)
主格の関係代名詞と異なり、目的格の関係代名詞はほとんどの場合、省略することができます。 省略された場合、先行詞の直後に「主語 + 動詞」が続く形になります。
- 例文(人): She is the teacher whom I respect most.
- → She is the teacher ( ) I respect most. (彼女は私が最も尊敬している先生だ。)
- 例文(物): The car that he bought was red.
- → The car ( ) he bought was red. (彼が買った車は赤かった。)
3. 前置詞の目的語となる場合
目的格の関係代名詞は、関係代名詞節内の前置詞の目的語になることもあります。この場合、前置詞の位置によって、表現方法が異なります。
a. 前置詞を関係代名詞の前に置く(フォーマル)
前置詞を関係代名詞の直前に置く場合は、whom(人)または which(物)のみが使え、that や who は使えず、省略もできません。
- This is the house in which I lived when I was a child. (これが私が子どもの頃に住んでいた家だ。)
- This is the man with whom I work. (この人が私が一緒に働いている男性だ。)
b. 前置詞を節の最後に置く(一般的)
前置詞を関係代名詞節内の動詞の後に残す場合、whom/who/which/that のすべてが使え、省略も可能です。この形が最も一般的です。
- This is the house (which/that) I lived in.
- This is the man (whom/who/that) I work with.
4. 目的格の関係代名詞 that の使用
目的格の that は、フォーマルな whom や which の代わりに、人・物どちらにも広く使われます。特に目的格では、省略されるか that が使われる傾向が非常に強いです。
- That が使えないのは、非制限用法(コンマ「,」がある場合)のみです。
- × He is my best friend, that I trust deeply.
- ✓ He is my best friend, whom I trust deeply. (彼は私の親友で、私は彼を深く信頼している。)
関係代名詞の目的格の省略について
関係代名詞の目的格は、文脈によっては省略できる場合があります。これは、文の意味が明瞭で、省略しても文構造が分かりやすい場合に特に起こります。
関係代名詞が省略できる主なケース
- 目的語として使われているとき:
- This is the book (that) I bought yesterday. (私が昨日買った本です。)
- The man (whom) I met at the party was very kind. (パーティーで会った男性はとても親切でした。)
- The movie (which) we saw last night was boring. (昨夜見た映画は退屈だった。)
- 前置詞の目的語として使われているとき:
- The city (in which) I was born is small. (私が生まれた都市は小さい。)
- The person (with whom) I talked is a doctor. (私が話した人は医者です。)
関係代名詞を省略できないケース
- 主語として使われているとき:
- The man who lives next door is a doctor. (隣に住んでいる男性は医者です。)
- 所有格として使われているとき:
- The woman whose car was stolen called the police. (車が盗まれた女性は警察に電話した。)
関係代名詞を省略するメリット
- 文を簡潔にする: 文が長くなるのを防ぎ、読みやすくする。
- 自然な表現: 口語では、関係代名詞が省略されることが多い。
関係代名詞を省略する際の注意点
- 文の意味が明確になること: 省略しても、文の意味が曖昧にならないように注意する。
- 文構造が分かりやすくなること: 省略することで、文構造が複雑にならないように注意する。
まとめ
関係代名詞の目的格は、文脈によって省略できる場合があります。ただし、省略することで文の意味が分かりにくくなる場合は、省略しない方が良いでしょう。
省略できるかどうか判断するポイント
- 先行詞が明確であるか: どの名詞を説明しているのかがはっきりしているか。
- 関係代名詞節が本動詞の目的語になっているか: 関係代名詞節が、主節の動詞の目的語として機能しているか。
- 文の意味が明瞭であるか: 省略しても、文の意味が曖昧にならないか。
練習問題
次の文の空欄に適切な関係代名詞を入れなさい。省略できる場合は省略して書きなさい。
- The book _____ I bought yesterday is very interesting.
- The man _____ I met at the party was a singer.
- The city _____ I was born is small.
- The reason _____ he was late is that his train was delayed.
解答
- The book (that/which) I bought yesterday is very interesting.
- The man (whom/who) I met at the party was a singer.
- The city (in which) I was born is small.
- The reason why he was late is that his train was delayed.
関係代名詞の目的格に関する練習問題に挑戦しよう

問題
英文和訳(以下の英文を和訳しなさい)
- This is the camera which I bought last year.
- The actor whom everyone admires is very humble.
- The city that he lives in is famous for its history.
- She lost the key ( ) I gave her yesterday.
- The movie which we watched last night was fantastic.
- The person ( ) I work with is very reliable.
- The book that you are looking for is on the shelf.
- I met a friend whom I had not seen for ten years.
- Is this the laptop which you want to buy?
- The teacher ( ) all the students trust is Mr. Sato.
解答
英文和訳
- これは私が昨年買ったカメラです。
- みんなが尊敬しているその俳優は、とても謙虚です。
- 彼が住んでいるその都市は、その歴史で有名です。
- 彼女は昨日私があげた鍵をなくしました。(目的格 that / which の省略)
- 私たちが昨夜観た映画は素晴らしかった。
- 私が一緒に働いている人はとても信頼できます。(目的格 that / whom の省略)
- あなたが探している本は棚の上にあります。
- 私は10年間会っていなかった友達に会いました。
- これがあなたが買いたいラップトップですか?
- 全ての生徒が信頼している先生は佐藤先生です。(目的格 that / whom の省略)
和文英訳(以下の日本語を関係代名詞の目的格を使って英訳しなさい)
- これがあなたが探している本です。
- 彼は私が尊敬している人です。
- 彼女が飼っている猫はとてもかわいい。
- 私たちは私たちが働くことができる場所を見つけた。
- 私が昨日撮った写真を見てください。
- 彼は誰もが愛している作家です。
- 私は彼女が住んでいる家を知っている。
- 彼が昨日会った女性は彼の姉だ。
- 彼が言っていることは本当ではない。
- これが私があなたに話したい話題です。
解答
和文英訳
- This is the book (which / that) you are looking for.
- He is the person (whom / who / that) I respect.
- The cat (which / that) she keeps is very cute.
- We found a place (where) we can work. または We found a place (which / that) we can work in.
- Please look at the pictures (which / that) I took yesterday.
- He is a writer (whom / that) everyone loves.
- I know the house (which / that) she lives in.
- The woman (whom / that) he met yesterday is his sister.
- What he is saying is not true. (これは目的格の関係代名詞whatです)
- This is the topic (which / that) I want to talk to you about.




