【受動態:文法】受動態の基本を知り、受動態を多く用いる表現を豊かにしよう!(練習問題付き)

受動態の基本を知ろう

受動態は、英語の文法でとっても重要な表現方法です。能動態が「〜が〜する」と動作を行う側を主語にするのに対し、受動態は**「〜が〜される」**と、動作を受ける側を主語にする形です。

受動態の基本形

受動態の形はいつも同じパターンです。

be動詞 + 過去分詞 (Vp.p.)

  • be動詞は、文の主語と時制に合わせて形が変わります (例: am, is, are, was, were, be, been, being など)。
  • 過去分詞は、動詞の3つ目の形で、規則動詞なら -ed をつけ、不規則動詞は個別の形になります (例: playplayed, eateaten)。

例:

  • 能動態: I eat an apple. (私がリンゴを食べる。)
  • 受動態: An apple is eaten by me. (リンゴが私に食べられる。)

なぜ受動態を使うの?

受動態を使うのには、いくつか理由があります。

  1. 誰がやったか分からない、または重要ではない時 誰がその動作をしたのか不明な場合や、伝える必要がない場合に受動態を使います。
    • The window was broken last night. (窓が昨夜割られました。)
      • (誰が割ったのかはっきりさせたくない、または重要ではない。)
  2. 動作を受けるものに焦点を当てたい時 文の中で、動作の受け手(対象)を主役にしたい場合に受動態を使います。
    • This book was written by a famous author. (この本は有名な作家によって書かれました。)
      • (「本」に焦点を当てていて、誰が書いたかは補足情報。)
  3. 客観的でフォーマルな印象を与えたい時 ニュース記事、科学論文、公式な発表など、個人的な感情を避け、客観的な事実を述べたいときに使われます。
    • New regulations will be implemented next month. (新しい規制は来月施行されます。)
      • (特定の誰かが施行するというよりも、規制が施行されるという事実を強調。)

受動態の作り方

能動態の文を受動態にする基本的な手順は次の通りです。

能動態の文: 主語 + 動詞 + 目的語

  1. 能動態の「目的語」を受動態の「主語」にします。
  2. 動詞を「be動詞 + 過去分詞」の形に変えます。
    • be動詞は、新しい主語と元の動詞の時制に合わせます。
  3. 能動態の「主語」を「by + 動作主」として文の最後に加えます。(省略されることも多い)
    • 動作主が不明、重要ではない、または「人々 (people)」「誰か (someone)」といった一般的な人である場合は、by + 動作主は省略されることがほとんどです。

例:

  • 能動態: My mother made this cake. (母がこのケーキを作った。)
  • 受動態: This cake was made by my mother. (このケーキは母によって作られた。)

様々な時制と助動詞との組み合わせ

受動態は、他の時制や助動詞と組み合わせて使うこともできます。

  • 現在進行形: be動詞 + being + 過去分詞
    • The house is being built. (その家は建てられているところだ。)
  • 現在完了形: have/has + been + 過去分詞
    • The letter has been sent. (その手紙は送られた。)
  • 助動詞: 助動詞 + be + 過去分詞
    • This problem can be solved. (この問題は解決できる。)

なぜ受動態を使うのか

受動態は、英語で文を作る際に「なぜ?」と疑問に思われがちですが、実は非常に重要な役割を持っています。能動態が「〜が〜する」と**動作を行う人や物(動作主)に焦点を当てるのに対し、受動態は「〜が〜される」**と、動作を受ける人や物に焦点を当てるために使われます。

受動態を使う主な理由は以下の3つです。

1. 動作主が不明、または重要ではない場合

誰がその動作を行ったのかが分からない時、あるいは誰がやったかが重要ではない時に受動態を使います。

  • 例: The window was broken last night. (窓が昨夜割られました。)
    • この文では「誰が窓を割ったのか」は特定されていませんし、伝える必要がないと判断されています。重要なのは「窓が割られた」という事実です。
  • 例: New roads are being built in the city. (市内に新しい道路が建設されているところです。)
    • 誰が建設しているか(建設会社や作業員)は一般的には重要ではないため、道路が建設されているという状況に焦点が当てられています。

2. 動作を受けるものに焦点を当てたい場合

文の中で、動作の対象となるもの(動作を受ける側)を主役にしたいときに受動態を使います。特に、その対象が文の主題としてより重要である場合に有効です。

  • 例: This book was written by a famous author. (この本は有名な作家によって書かれました。)
    • 「有名な作家が書いた」という事実よりも、「この本」にスポットライトを当てたい場合に受動態が使われます。もし能動態にすると「A famous author wrote this book.」となり、作家が主役になります。
  • 例: The decision was made after careful consideration. (その決定は慎重な検討の後に下されました。)
    • 誰が決定したかよりも、「その決定」がどのように下されたかというプロセスや結果に焦点が置かれています。

3. 客観的でフォーマルな印象を与えたい場合

個人的な意見や感情を避け、客観的な事実や一般的な状況を述べたいときに受動態が選ばれます。学術論文、ニュース記事、公式な発表、科学的な説明などでよく使われます。

  • 例: Research has been conducted to explore the effects. (その影響を探るために研究が実施されてきました。)
    • 「誰が研究したか」ではなく、「研究が実施された」という客観的な事実が述べられています。
  • 例: All instructions must be followed strictly. (全ての指示は厳守されなければなりません。)
    • 「誰が指示に従うべきか」を特定せず、指示が守られるべきだという客観的な規則を示しています。

受動態を多く用いる表現について知ろう


受動態が特に多く用いられる表現や状況はいくつかあります。これらは、単に「〜される」という文法的な意味合いを超えて、特定のニュアンスや目的のために積極的に選ばれます。

1. ニュースや報道

ニュース記事や報道では、客観性事実の強調が求められるため、受動態が多用されます。誰が行動したかよりも、「何が起きたか」という出来事そのものに焦点を当てたい場合に有効です。

  • The new law was passed by the parliament yesterday. (新法は昨日、議会によって可決された。)
  • Three people were injured in the accident. (その事故で3人が負傷した。)
  • A major discovery has been announced by scientists. (主要な発見が科学者たちによって発表された。)

2. 科学論文や学術研究

科学論文や学術研究では、実験や観察の結果、一般的な事実、発見プロセスなどを記述する際に受動態が好まれます。これも、客観性を保ち、研究者個人よりも研究内容や結果そのものに重きを置くためです。

  • The experiment was conducted under controlled conditions. (その実験は管理された条件下で実施された。)
  • Data were collected over a period of six months. (データは6ヶ月間にわたって収集された。)
  • New theories are being developed to explain the phenomenon. (その現象を説明するための新しい理論が開発されている。)

3. 公式な発表や報告書

企業や政府機関からの公式な声明、報告書、指示などでも受動態が頻繁に使われます。責任の所在を明確にせず(あるいは一般的な組織としての責任とし)、決定や変更された事実を伝える際に用いられます。

  • Customers will be notified of the changes next week. (顧客は来週、変更について通知されるだろう。)
  • All complaints must be submitted in writing. (全ての苦情は書面で提出されなければならない。)
  • The new policy was approved by the board of directors. (新しい方針は取締役会によって承認された。)

4. 日常会話での「〜だと言われている」「〜だと考えられている」

「一般的にこう思われている」「こういう話がある」といった漠然とした噂や共通認識を伝える際にも、受動態の表現がよく使われます。

  • It is said that he is a genius. (彼は天才だと言われている。)
  • He is believed to have left the country. (彼は出国したと信じられている。)
  • It is thought that the economy will recover soon. (経済はすぐに回復すると考えられている。)

5. 動作主が不明、または重要でない場合

これが受動態を使う最も基本的な理由で、上記全ての状況に共通します。誰がその行動を行ったのかが不明、あるいは文脈上それが重要ではない場合に、動作を受ける側を主語にします。

  • My wallet was stolen. (財布が盗まれた。) – 誰が盗んだか分からない、または重要ではない。
  • The old building was demolished. (その古い建物は解体された。) – 誰が解体したかよりも、建物が解体された事実が重要。

これらの例からわかるように、受動態は単なる文法上の選択ではなく、コミュニケーションの目的や文脈に応じて、能動態とは異なる特定の効果をもたらすために意識的に使われる表現です。

受動態を多く用いる表現について深めよう

感情を表現する場合以外にも、受動態を多く用いる表現がある。

①感情を表現する場合

・I was surprised at the news.

(私は、そのニュースに驚いた。)

②事故や病気を表現する場合

・ I was hurt my leg.

(私は、足を怪我した。)

・My groundmother was died by flu yesterday.

(私の祖母は昨日インフルエンザで亡くなった。)

③結婚や誕生などについて表現するとき。

・Who was born on May 5.

(誰が5月5日に生まれたのですか。)

・Tom was divorced twice.

(トムは2回離婚した。)

エッセイや論文等を書く際に、受動態を用いることで動作の主体が曖昧になるため文章がわかりにくく、誰が何をしたのかが不明瞭になる。このことから、一般的には能動態でエッセイや論文等を書くことが好まれている。

受動態にならない動詞(まとめ)

他動詞の場合、すべてが受動態になるわけではなく次の場合には、動詞を受動態として扱うことができない。

①所有・非所有を表す他動詞

(〇)My mother has red eyes.

(✕)Red eyes are had by my mother.

(母は、赤い目をしている。)

②数量を表す語などを目的語にとる語

(〇)The red wine costs 10,000 dollar.

(✕)10,000 dollar is cost by the red wine.

(その赤ワインは、10,000ドルする。)

受動態にならない動詞(まとめ) | てばっち教育研究所 (tebatch.com): 【受動態:文法】受動態の基本を知り、受動態を多く用いる表現を豊かにしよう!(練習問題付き)

受動態を多く用いる表現 練習問題

英文和訳 (English to Japanese)

指示: 以下の英文を日本語に訳しなさい。

  1. The new vaccine was developed by a team of international scientists.
  2. Thousands of trees were planted as part of the reforestation project.
  3. It is believed that climate change is the biggest challenge of our time.
  4. All flights were canceled due to the heavy snow.
  5. Research has been conducted to investigate the cause of the disease.
  6. The ancient ruins are protected by the government.
  7. Customers will be informed of any changes to the schedule.
  8. The decision was made after careful consideration.
  9. He is said to be one of the most influential figures in the industry.
  10. Many valuable artifacts were discovered during the excavation.

和文英訳 (Japanese to English)

指示: 以下の日本語を受動態を多く用いる表現を使って英文に訳しなさい。

  1. その製品は来月発売される予定です。
  2. その事故の原因はまだ調査中だ。
  3. その新しい橋は昨年完成した。
  4. 彼が正直な人物であると広く信じられている。
  5. 会議は午後3時に開催される。
  6. 全ての指示は厳守されなければならない。
  7. その建物は100年前に建てられた。
  8. その研究は、将来の治療法開発のために行われている。
  9. 多くの野生動物が絶滅の危機に瀕している。
  10. この地域には多くの歴史的建造物が見られる。

解答例

英文和訳の解答例

  1. 新しいワクチンは国際的な科学者チームによって開発された。
  2. 数千本の木が森林再生プロジェクトの一環として植えられた。
  3. 気候変動が私たちの時代の最大の課題だと信じられている。
  4. 大雪のため、全てのフライトが欠航になった。
  5. 病気の原因を調査するために研究が行われてきた。
  6. その古代遺跡は政府によって保護されている。
  7. 顧客にはスケジュールの変更が通知されるだろう。
  8. その決定は慎重な検討の後に下された。
  9. 彼は業界で最も影響力のある人物の一人だと言われている。
  10. 多くの貴重な人工物が発掘中に発見された。

和文英訳の解答例

  1. The product will be launched next month.
  2. The cause of the accident is still being investigated.
  3. The new bridge was completed last year.
  4. It is widely believed that he is an honest person. / He is widely believed to be an honest person.
  5. The meeting will be held at 3 p.m.
  6. All instructions must be strictly followed.
  7. The building was built 100 years ago.
  8. The research is being conducted for the development of future treatments.
  9. Many wild animals are threatened with extinction. / Many wild animals are endangered.
  10. Many historical buildings can be seen in this area.

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