不定詞について知ろう
不定詞は、動詞の原形に to をつけた形(to + 動詞の原形)で、文中で動詞以外の様々な働きをする品詞です。主に名詞、形容詞、副詞の3つの役割を果たします。
1. 名詞的用法 (〜すること)
文中で主語、目的語、補語になり、「〜すること」という意味を持ちます。
- 主語として:
**To learn** English is fun.(英語を学ぶことは楽しい。) - 目的語として:
I want **to go** home.(私は家に帰りたい。) - 補語として:
My dream is **to be** a doctor.(私の夢は医者になることだ。)
2. 形容詞的用法 (〜するための、〜すべき)
名詞を修飾し、主に「〜するための」「〜すべき」といった意味を表します。修飾する名詞の後ろに置かれます。
I have many things **to do** today.(今日、すべきことがたくさんある。)She needs a chair **to sit on**.(彼女は座るための椅子が必要だ。)
3. 副詞的用法 (目的、原因、結果など)
動詞、形容詞、または文全体を修飾し、目的、原因、結果、判断の根拠など、様々な情報を付け加えます。
- 目的:
I came here **to study**.(勉強するためにここに来た。) - 原因:
I was happy **to hear** the news.(そのニュースを聞いて嬉しかった。) - 結果:
He grew up **to be** a doctor.(彼は成長して医者になった。)
その他の重要な用法
- 原形不定詞: 知覚動詞や使役動詞の後ろでは、to が省略され、動詞の原形のみが使われます。
I saw him **cross** the street.(彼が通りを横切るのを見た。)
- 否定形: to の直前に not を置きます。
I decided **not to go** to the party.(私はパーティーに行かないことを決めた。)
名詞的用法について知ろう
不定詞(to + 動詞の原形)が名詞的用法として使われるとき、それは文中で名詞と同じ働きをします。これにより、「〜すること」という概念を表現でき、文の主語、目的語、補語のいずれかになります。

1. 主語として(〜することは)
不定詞が文の主語になる場合です。文頭に置かれますが、主語が長すぎるとバランスが悪くなるため、通常は形式主語の It を使って表現します。
- 不定詞主語の形: To learn English is fun. (英語を学ぶことは楽しい。)
- 形式主語の形: It is fun to learn English.
- 💡
Itが一時的に主語の場所を占め、真の主語であるto learn Englishが文の後半に置かれます。
- 💡
- 誰にとって、その行為がどうなのかを示したい場合は、
for + 目的格を不定詞の前に置きます。- It is difficult for me to get up early. (私にとって早起きすることは難しい。)
2. 目的語として(〜すること)
不定詞が動詞の目的語になる場合です。動詞の後ろに置かれ、「〜すること」を欲したり、決めたり、望んだりする意味を表します。
- 例文: I want to travel to Japan. (私は日本に旅行することを望んでいる。)
- 例文: He decided to buy a new car. (彼は新しい車を買うことに決めた。)
📌 不定詞を目的語にとる主な動詞 (未来志向の動詞)
不定詞を目的語にとる動詞の多くは、「これから〜すること」という未来の行為に関係しています。
| 動詞 | 意味 |
| want | 〜したい |
| decide | 〜することを決心する |
| hope | 〜することを望む |
| plan | 〜することを計画する |
| promise | 〜することを約束する |
| refuse | 〜することを拒否する |
3. 補語として(〜することだ)
不定詞が主語を説明する補語になる場合です。be動詞の後ろに置かれ、「〜することだ」と訳されます。
- 例文: My dream is to be a doctor. (私の夢は医者になることだ。)
- 例文: Her hobby is to collect stamps. (彼女の趣味は切手を集めることだ。)
4. 疑問詞 + to不定詞
疑問詞(what, when, where, how, who)の後に不定詞が続くことで、名詞と同じように「〜すべきか」といった意味の名詞句を作ることができます。
- 例文: I don’t know what to do. (何をすべきか分かりません。)
- →
what to doは文全体の目的語として機能しています。
- →
- 例文: Could you tell me how to use this machine? (この機械をどうやって使うべきか教えていただけますか?)
この用法は、疑問詞 + should + 動詞の原形 の形に書き換えることができます。
- I don’t know what I should do.
副詞的用法について知ろう
不定詞の副詞的用法は、「to + 動詞の原形」の形で、文中で主に動詞や形容詞を修飾し、その動作や状態の理由、目的、結果など、様々な意味を付け加える働きをします。

1. 目的(〜するために)
副詞的用法の中で最も頻繁に使われる用法です。動詞が表す動作の目標や意図を説明します。
- 例文: I came here to study Japanese. (私は日本語を勉強するためにここに来た。)
- → 「来た (came)」という動作の目的が「勉強すること (to study)」です。
- 強調表現: 目的を特に強調したい場合は、in order to や so as to を使うことがあります。
- He hurried in order not to miss the train. (彼は電車に乗り遅れないために急いだ。)
- 💡 否定形は、常に not to の形で
toの直前に not を置きます。
- 💡 否定形は、常に not to の形で
- He hurried in order not to miss the train. (彼は電車に乗り遅れないために急いだ。)
2. 原因・理由(〜して)
主に感情を表す形容詞(glad, happy, sad, surprised, disappointed など)の後に続き、その感情を抱いた原因や理由を説明します。
- 例文: I was happy to see you again. (あなたにまた会えて、嬉しかった。)
- → 「嬉しかった (was happy)」という感情の原因が「会ったこと (to see you again)」です。
- 例文: She was surprised to hear the news. (彼女はそのニュースを聞いて驚いた。)
3. 結果(〜した結果)
主節の動作や状態が、最終的にどのような結末に至ったかを説明します。この用法は特定の動詞(grow up, live, awake など)と結びつくことが多いです。
- 例文: He grew up to be a doctor. (彼は成長して、その結果医者になった。)
- 例文: She studied hard, only to fail the exam. (彼女は一生懸命勉強したが、結局試験に落ちただけだった。)
- 💡 only to + 動詞の原形 は「〜したが、結局〜しただけだった」という残念な結果を表します。
4. 判断の根拠(〜するなんて)
主語に対する判断や推量(must be, cannot be, will be など)の後に続き、その判断の裏付けとなる理由や根拠を説明します。
- 例文: He must be a genius to solve that problem so quickly. (あの問題をそんなに早く解くなんて、彼は天才に違いない。)
- → 「天才に違いない (must be a genius)」と判断した根拠が「問題を解いたこと (to solve…)」です。
5. 程度(〜するには)
主に形容詞や副詞を修飾し、その動作を行う上での程度や限度を説明します。too… to ~ や enough to ~ の構文でよく使われます。
too... to ~: 〜するには〜すぎる(否定的な意味)- The box is too heavy to carry. (その箱は運ぶには重すぎる。)
enough to ~: 〜するのに十分なほど〜だ(肯定的な意味)- He is rich enough to buy the car. (彼はその車を買うのに十分なほどお金持ちだ。)
副詞的用法と名詞的用法の違い
不定詞には、文の中で様々な働きをする「用法」があります。その中でも特に混同しやすいのが、「副詞的用法」と「名詞的用法」です。
副詞的用法
- 働き: 文中の動詞や形容詞、あるいは文全体を修飾します。
- 意味: 主に「~するために」「~して」などの目的、理由、結果などを表します。
- 位置: 文中の様々な位置に置かれます。
例:
- I study English to get a job.(仕事をゲットするために英語を勉強しています。)
- She was too tired to walk.(彼女は疲れていたので歩くことができませんでした。)
名詞的用法
- 働き: 文中で主語、目的語、補語などの働きをします。
- 意味: 「~すること」という名詞と同じような働きをします。
- 位置: 動詞の後に置かれることが多いです。
例:
- To study English is important.(英語を勉強することは大切です。)
- I like to swim.(私は泳ぐことが好きです。)
両者の違いをまとめた表
| 区分 | 副詞的用法 | 名詞的用法 |
|---|---|---|
| 働き | 動詞・形容詞・文全体を修飾 | 主語・目的語・補語など |
| 意味 | 目的、理由、結果など | ~すること |
| 位置 | 文中の様々な位置 | 動詞の後に置かれることが多い |
どのように見分けるか?
- 何を修飾しているか?
- 動詞や形容詞を修飾している場合は副詞的用法、文全体を修飾している場合も副詞的用法の可能性が高いです。
- 主語や目的語になっている場合は名詞的用法です。
- 意味は?
- 「~するために」「~して」などの意味であれば副詞的用法、「~すること」という意味であれば名詞的用法です。
さらに詳しく知りたい方へ
- 文脈で判断する: 文脈の中で、不定詞がどのような役割を果たしているのかを考えながら判断すると、より確実です。
- 他の用法との比較: 不定詞には、副詞的用法と名詞的用法以外にも、形容詞的用法があります。これらの用法を比較することで、より深く理解することができます。
まとめ
副詞的用法と名詞的用法は、文法の基礎となる重要な概念です。この違いをしっかりと理解することで、英語の文章をより深く読み解くことができるようになります。
不定詞の副詞的用法と名詞的用法の違いを問う問題
問題形式1:以下の文の不定詞の用法を選びなさい。
- I want to eat an apple.
- ① 副詞的用法 (目的)
- ② 名詞的用法 (目的語)
- She is too young to drive.
- ① 副詞的用法 (結果)
- ② 名詞的用法 (主語)
- To study English is important.
- ① 副詞的用法 (目的)
- ② 名詞的用法 (主語)
- He went to the library to study.
- ① 副詞的用法 (目的)
- ② 名詞的用法 (目的語)
問題形式2:次の日本語を英語にするとき、空欄に適切な不定詞を入れてください。
- 私はピアノを弾くのが好きです。 I like ________.
- 明日は映画を見に行くつもりです。 I am going to the movies ________.
- 彼女はあまりにも疲れていたので、何もできませんでした。 She was too tired ________.
問題形式3:以下の文の不定詞の用法を説明しなさい。
- It is easy to learn English.
- I went to the store to buy some milk.
解答
問題形式1
- ②
- ①
- ②
- ①
問題形式2
- I like to play the piano.
- I am going to the movies to see a movie.
- She was too tired to do anything.
問題形式3
- to learn English は、文の主語の役割を果たしているので、名詞的用法です。
- to buy some milk は、動詞 went を修飾しており、目的を表しているので、副詞的用法です。
解説
- 名詞的用法: 不定詞が文の主語、目的語、補語などの働きをする場合。
- 副詞的用法: 不定詞が動詞や形容詞を修飾し、目的、理由、結果などを表す場合。
ポイント
- 不定詞が文中でどのような役割を果たしているか、文脈をしっかりと読み解くことが大切です。
- 不定詞の直前の単語に注目すると、その用法が分かりやすくなることがあります。
その他の練習問題のヒント
- 不定詞の意味上の主語: 不定詞の動作を行う主語が誰なのかを考えましょう。
- 不定詞の位置: 文中の位置によって、その用法が推測できる場合があります。
これらの問題を解くことで、不定詞の副詞的用法と名詞的用法の違いをより深く理解できるようになるでしょう。
不定詞の名詞的用法と副詞的用法を組み合わせた練習問題に挑戦しよう!

問題
英文和訳(以下の英文を和訳しなさい)
- My goal is to travel to all seven continents. (名詞的用法:補語)
- I went to the store to buy some milk. (副詞的用法:目的)
- She decided not to quit her job. (名詞的用法:目的語, 否定)
- It is important to be honest with yourself. (名詞的用法:主語, 形式主語)
- I was sad to hear about the accident. (副詞的用法:原因)
- The team practiced hard, only to lose the final game. (副詞的用法:結果)
- He must be busy to miss his lunch break. (副詞的用法:判断の根拠)
- To understand physics requires focus. (名詞的用法:主語)
- He lived to see his grandchildren grow up. (副詞的用法:結果)
- We promised to call them when we arrived. (名詞的用法:目的語)
和文英訳(以下の日本語を不定詞の名詞的用法または副詞的用法を使って英訳しなさい)
- 私の夢は、有名な音楽家になることです。
- 私たちは真実を知るためにここに来た。
- 彼はそんなことをするなんて、親切に違いない。
- 私はあなたに会うことを望んでいます。
- 彼にとって、一人で運転することは難しい。
- 彼女は成長して、有名な作家になった。
- 私はこのニュースを聞いて驚いた。
- 彼らは勝つために一生懸命練習した。
- 誰にも話さないことを私は約束した。
- 彼女は目を覚まし、自分が病院にいることに気づいた。
解答
英文和訳
- 私の目標は、7つのすべての大陸を旅することです。(名詞的用法:補語)
- 私は牛乳を買うために店に行った。(副詞的用法:目的)
- 彼女は仕事を辞めないことを決めた。(名詞的用法:目的語, 否定)
- 自分自身に正直であることは重要だ。(名詞的用法:主語, 形式主語)
- その事故について聞いて、私は悲しかった。(副詞的用法:原因)
- チームは一生懸命練習したが、結局決勝戦に負けただけだった。(副詞的用法:結果)
- 昼休みを逃すなんて、彼は忙しいに違いない。(副詞的用法:判断の根拠)
- 物理学を理解することは集中力を必要とする。(名詞的用法:主語)
- 彼は生きて孫たちが成長するのを見た。(副詞的用法:結果)
- 私たちは到着したときに彼らに電話することを約束した。(名詞的用法:目的語)
和文英訳
- My dream is to become a famous musician. (名詞的用法:補語)
- We came here to know the truth. (副詞的用法:目的)
- He must be kind to do such a thing. (副詞的用法:判断の根拠)
- I want to see you. (名詞的用法:目的語)
- It is difficult for him to drive alone. (名詞的用法:主語, 形式主語)
- She grew up to be a famous writer. (副詞的用法:結果)
- I was surprised to hear this news. (副詞的用法:原因)
- They practiced hard to win. (副詞的用法:目的)
- I promised not to tell anyone. (名詞的用法:目的語, 否定)
- She woke up to find herself in a hospital. (副詞的用法:結果)



