助動詞「would」について
「would」は、助動詞「will」の過去形としてだけでなく、非常に多様な意味とニュアンスを持つ助動詞です。主に仮定、丁寧な依頼・申し出、過去の習慣、そして推量を表す際に使われます。
1. 「will」の過去形として
過去の時点から見た未来、または過去の意思を表します。間接話法でよく使われます。
- He said he would come. (彼は来ると言った。)
- (He said, “I will come.”)
- I thought it would rain. (雨が降るだろうと思った。)
- (I thought, “It will rain.”)
2. 仮定・非現実的な状況 (Hypothetical / Unreal Situations)
現在の事実と異なる仮定の状況や、実現可能性の低い願望を表す際によく使われます。仮定法で頻繁に登場します。
- If I were rich, I would travel around the world. (もしお金持ちだったら、世界中を旅するだろうに。)
- I would love to see that movie. (その映画をぜひ見たい。) (丁寧な願望)
- It would be nice if we could meet. (会えたらいいだろうな。)
3. 丁寧な依頼・申し出 (Polite Requests / Offers)
「will」よりもさらに丁寧な依頼や申し出をする際に使われます。
- Would you please open the window? (窓を開けていただけますか?)
- Would you like some coffee? (コーヒーをいかがですか?)
- I would be happy to help you. (喜んでお手伝いいたします。)
4. 過去の習慣・傾向 (Past Habit / Tendency)
「used to」と似ていますが、過去に繰り返し行われていた行動(状態ではない)や、過去の一般的な傾向を表します。
- When I was a child, I would often visit my grandparents. (子供の頃、よく祖父母の家を訪れたものだった。)
- Every morning, he would read the newspaper at the cafe. (毎朝、彼はカフェで新聞を読んでいた。)
- Accidents would happen in those days. (あの頃は事故が起こるものだった。)
「used to」との違い
- would: 過去の習慣的な行動のみに使える。
- used to: 過去の習慣的な行動と過去の状態の両方に使える。「今はそうではない」という明確な対比を示す。
- There used to be a big tree here. (以前ここに大きな木があった。) (〇 状態)
- There would be a big tree here. (✖ 状態には使えない)
5. 推量・可能性 (Speculation / Probability)
現在の状況や過去の事実に基づいて、控えめな推量や確信の低い可能性を表すことがあります。
- That would be John at the door, I suppose. (玄関にいるのはジョンだろうな、多分。)
- It would seem that she knows the answer. (彼女は答えを知っているようだ。)
6. 拒否 (Refusal – 否定形で)
過去において、何かを拒否したことを表します。
- I tried to persuade him, but he wouldn’t listen. (彼を説得しようとしたが、彼は聞こうとしなかった。)
- The car wouldn’t start this morning. (今朝、車がどうしても動かなかった。)
「would」は多義的で複雑に感じられるかもしれませんが、核となるのは「非現実・仮定」と「過去の習慣」の2つです。これらの意味合いから派生して、丁寧な表現や控えめな推量にも使われます。
wouldの類似表現を確認しよう
「would」は非常に多様な意味とニュアンスを持つ助動詞で、その類似表現も文脈によって大きく異なります。主に仮定・非現実、丁寧な依頼・申し出、過去の習慣、推量のいずれかの意味で使われます。

1. 仮定・非現実 (Hypothetical / Unreal Situations
) の類似表現
現在の事実と異なる仮定の状況や、実現可能性の低い願望を表す際の代替表現です。
- could:
- 「〜できただろうに(もし〜ならば)」という、仮定の状況での可能性や能力を示します。「would」と同様に仮定法で使われます。
- 例: If I had more time, I would finish this. (もっと時間があれば、これを終えるだろうに。)
- 例: If I had more time, I could finish this. (もっと時間があれば、これを終えることができただろうに。)
- might:
- 「〜だったかもしれない」という、不確実な仮定の結果を示します。「would」が単なる仮定の結果であるのに対し、「might」はそこに可能性の低さや不確かさが加わります。
- 例: If he tried harder, he would succeed. (彼がもっと努力すれば、成功するだろうに。)
- 例: If he tried harder, he might succeed. (彼がもっと努力すれば、成功するかもしれない。)
2. 丁寧な依頼・申し出 (Polite Requests / Offers
) の類似表現
「will」よりもさらに丁寧な依頼や申し出をする際の代替表現です。
- could you please ~?:
- 「would you please ~?」と非常に似ていますが、少しだけより直接的な丁寧な依頼です。
- 例: Would you please open the window? (窓を開けていただけますか?)
- 例: Could you please open the window? (窓を開けていただけますか?)
- may I ~?:
- 許可を求める際に使われる丁寧な表現です。
- 例: Would you mind if I opened the window? (窓を開けてもよろしいでしょうか? – 間接的に依頼)
- 例: May I open the window? (窓を開けてもよろしいでしょうか? – 直接的に許可を求める)
- shall I/we ~?:
- 「(私が/私たちが)〜しましょうか?」という、申し出や提案を表します。主にイギリス英語で使われます。
- 例: I would be happy to help you. (喜んでお手伝いいたします。)
- Shall I help you? (お手伝いしましょうか?)
3. 過去の習慣 (Past Habit
) の類似表現
過去に繰り返し行われていた行動を表す際の代替表現です。
- used to do:
- 「would」と同様に過去の習慣的な行動を表しますが、「used to」は過去の状態にも使え、現在はもうそうではないという明確な対比を強調します。
- 例: When I was a child, I would often visit my grandparents. (子供の頃、よく祖父母の家を訪れたものだった。)
- 例: When I was a child, I used to visit my grandparents often. (子供の頃、よく祖父母の家を訪れたものだった。)
- 注意: There used to be a big tree here. (以前ここに大きな木があった。) は言えますが、There would be a big tree here. は言えません。
4. 推量・可能性 (Speculation / Probability
) の類似表現
現在の状況や過去の事実に基づいて、控えめな推量や確信の低い可能性を表す際の代替表現です。
- might be:
- 「〜かもしれない」という、より可能性の低い推量を表します。
- 例: That would be John at the door, I suppose. (玄関にいるのはジョンだろうな、多分。)
- 例: That might be John at the door. (玄関にいるのはジョンかもしれない。)
- could be:
- 「〜という可能性もある」という、控えめな推量や可能性を表します。
- 例: It would seem that she knows the answer. (彼女は答えを知っているようだ。)
- 例: It could be that she knows the answer. (彼女が答えを知っているという可能性もある。)
「would」の類似表現は、その多岐にわたる意味合いに応じて適切に使い分けることが重要です。特に「used to」との違いや、依頼における丁寧さの度合いを意識すると、より自然な英語表現に繋がるでしょう。
wouldの慣用表現を確認しよう
助動詞「would」は、未来や意思を表す「will」の過去形としてだけでなく、仮定、丁寧な依頼、過去の習慣、推量など、多様な意味合いで使われます。そのため、特定の文脈で使われることで、決まった意味合いを持つ慣用表現を形成します。

1. would have + 過去分詞 (仮定法過去完了)
- 意味: 「〜だっただろうに」「〜していただろうに(実際はしなかった)」
- 解説: 過去の事実と異なる仮定の状況(もし〜だったら)の結果を表す際に使われます。仮定法過去完了の主要な要素です。
- 例文:
- If I had known, I would have helped you. (もし知っていたら、あなたを助けていただろうに。)
- She would have succeeded if she had worked harder. (もっと一生懸命働いていたら、彼女は成功していただろうに。)
2. would rather (do something)
- 意味: 「むしろ〜したい」「〜する方がいい」
- 解説: 他の選択肢よりも、ある行動や状態を好むことを示す際に使われます。「would rather do A than do B」で「BするよりもAしたい」という意味になります。
- 例文:
- I would rather stay home tonight than go out. (今夜は外出するよりも、むしろ家にいたい。)
- Would you rather have tea or coffee? (紅茶とコーヒー、どちらがよろしいですか?)
3. would like to do ~
/ would like (something)
- 意味: 「〜したい」「〜が欲しい」
- 解説: 丁寧な願望や希望を表す非常に一般的な表現です。「want to do」や「want (something)」よりも丁寧な響きがあります。
- 例文:
- I would like to ask you a question. (質問をさせていただきたいのですが。)
- We would like some more water, please. (もう少しお水が欲しいのですが。)
4. would you mind ~ing?
- 意味: 「〜していただけませんか?」「〜してもよろしいでしょうか?」
- 解説: 非常に丁寧な依頼をする際の表現です。直訳すると「〜するのを気にしますか?」となり、相手に手間をかけることへの配慮が込められています。返答は肯定の場合「Not at all. (全く構いません。)」や「Of course not. (もちろん構いません。)」となります。
- 例文:
- Would you mind opening the window? (窓を開けていただけますか?)
- Would you mind if I sat here? (ここに座ってもよろしいでしょうか?)
5. would you care to do ~?
/ would you care for (something)?
- 意味: 「〜されませんか?」「〜はいかがですか?」
- 解説: 丁寧な誘いや申し出の表現です。「would you like to do ~?」よりもややフォーマルで、相手に選択肢を与えるニュアンスがあります。
- 例文:
- Would you care to join us for dinner? (夕食にご一緒されませんか?)
- Would you care for a glass of wine? (ワインを一杯いかがですか?)
6. would that ~
- 意味: 「〜だったらなあ」「〜であればよかったのに」
- 解説: 実現しそうにない、あるいは実現しなかった事柄に対する強い願望や後悔を表す、やや古風または詩的な表現です。「if only ~」に似ています。
- 例文:
- Would that I were young again! (若返ることができたらなあ!)
- Would that he had listened to my advice. (彼が私の助言を聞いていればよかったのに。)
「would」の慣用表現は、仮定の状況、丁寧なコミュニケーション、そして過去の習慣といった様々な文脈でその多義性を発揮します。特に「would rather」「would like to」「would you mind ~ing」は日常会話で頻繁に使われる重要な表現ですので、ぜひマスターしてください。
wouldを深く知ろう
「would」は、時制の一致「will」の過去形になる以外にも他に用法がある。
助動詞の過去の共通点である「仮定法」の用法がある。
「used to ~ 」 と似ているが、「would」は過去のことに限定しておらず、仮定法の場合がある。文脈上において、過去の話であることが明白ではない場合には、過去の時を示す副詞語句を挿入するほうがいい。また、「used to ~」と異なり、「would」には特に現在と比較する要素がない。
「be動詞」と共に用いられるとき以外には「状態」を示す場合に限られている。
意思を表す「will」の過去形である。否定文においては「拒絶」を表現する場合が多い。
・He would not tell the truth.
(彼は、真実を話そうとしなかった)
・She wouldn’t say in English.
(彼女は、英語で話そうとしなかった。)
※基本的には短縮形「wouldn’t」を用いる。
<確認>
助動詞「will」の用法について①
「will」は、未来を表現する用法として「~だろう。」との認識が強い。
名詞の意味は「意思、意図、意欲」である。
・I will go there now.
(今から、そこに行くよ。)
・I‘ll take it.
(私は、これに決めた。)
※あらかじめ考えていたことではなく、その場で生じた意思を表現する。
「would」に関する練習問題

英文和訳 (Translate the following English sentences into Japanese.)
- If I had more time, I would travel around the world.
- Would you please pass me the salt?
- When I was a child, I would often play in the park.
- I would like to order a cup of coffee.
- He said he would be here by 7 PM.
- You would rather stay home than go to the party, wouldn’t you?
- If it hadn’t rained, we would have gone hiking.
- I would be happy to assist you with that.
- Would you mind opening the window? It’s a bit stuffy.
- The old clock in the hall would chime every hour.
和文英訳 (Translate the following Japanese sentences into English.)
- もし私が鳥だったら、空を飛ぶだろうに。
- 紅茶はいかがですか?
- 彼はよく週末に映画を見に行ったものだった。
- 私はむしろ静かな場所で働きたい。
- お手伝いさせていただけますか?
- もし真実を知っていたら、彼に話していただろうに。
- 彼女はパーティーに来ると言った。
- ここに座ってもよろしいでしょうか?
- その頃は、人々はよく手紙を書いたものだった。
- あなたに会えて嬉しいです。
解答 (Answers)
英文和訳
- もしもっと時間があれば、世界中を旅するだろうに。
- 塩を取っていただけますか?
- 子供の頃、よく公園で遊んだものだった。
- コーヒーを一杯注文したいのですが。
- 彼は午後7時までにここに来るだろうと言った。
- あなたはパーティーに行くよりむしろ家にいたいですよね?
- もし雨が降っていなかったら、私たちはハイキングに行っていたのに。
- 喜んでお手伝いいたします。
- 窓を開けていただけますか?少し息苦しいので。
- ホールの古い時計は毎時間鳴り響いたものだった。
和文英訳
- If I were a bird, I would fly in the sky.
- Would you like some tea?
- He would often go to the movies on weekends.
- I would rather work in a quiet place.
- I would be happy to help you. / Would you like me to help you?
- If I had known the truth, I would have told him.
- She said she would come to the party.
- Would you mind if I sat here?
- In those days, people would often write letters.
- I would be glad to see you.