“Shall” について
「Shall」は英語の助動詞で、現代英語では比較的フォーマルな場面や特定の文脈で使われることが多い単語です。以下に主な用法を説明します。
1. 提案・申し出 (Suggestions/Offers)
相手に対して何かを提案したり、申し出たりする際に使われます。この使い方は疑問文でよく見られます。
- Shall I/we…? (~しましょうか? / ~しませんか?)
- 例: Shall I open the window? (窓を開けましょうか?)
- 例: Shall we go for a walk? (散歩に行きませんか?)
2. 強い決意・約束 (Strong Determination/Promise – 比較的稀)
話し手の強い決意や約束を示す場合に使われることがありますが、これはやや古風な響きがあり、現代英語では “will” が使われることの方が圧倒的に多いです。特に、主語が “I” や “we” の場合に見られます。
- 例: I shall never forget your kindness. (私はあなたの親切を決して忘れないでしょう。)
- 例: We shall overcome. (私たちは打ち勝つでしょう。)
3. 法令・規則 (Laws/Regulations – 非常にフォーマル)
法律や規則などの非常にフォーマルな文書において、義務や必要性を示すために使われます。この場合、「~しなければならない」「~するものとする」という意味になります。
- 例: The tenant shall be responsible for all repairs. (テナントは全ての修繕に対して責任を負うものとする。)
- 例: No person shall enter this area. (何人もこの区域に立ち入ってはならない。)
4. 尋ねる・確認する (Asking for instructions/confirmation – 比較的稀)
相手に指示を求めたり、確認したりする際に使われることがありますが、これも現代ではあまり一般的ではありません。
- 例: What shall I do? (私は何をしたらいいですか?)
まとめ
「Shall」は、特に**「Shall I/we…?」の形で提案や申し出をする際**に日常会話で使われることがあります。それ以外の用法は、よりフォーマルな文脈や特定の文書、あるいはやや古風な表現として理解しておくと良いでしょう。
shallの類似表現を確認しよう
「shall」の類似表現は、その「shall」が持つ意味合いによって異なります。大きく分けて以下の3つのパターンで考えてみましょう。

1. 提案・申し出の「Shall I/we…?」に似た表現
この場合は、相手に何かを提案したり、手助けを申し出たりするニュアンスなので、以下のような表現が使えます。
- Do you want me to…? / Would you like me to…?
- 例: Do you want me to open the window? (窓を開けましょうか?)
- 「shall I…?」よりも、よりカジュアルで直接的な表現です。
- How about…? / What about…? (~しませんか? / ~はどうですか?)
- 例: How about going for a walk? (散歩に行きませんか?)
- グループでの提案によく使われます。
- Let’s… (~しましょう)
- 例: Let’s go for a walk. (散歩に行きましょう。)
- こちらは相手に同意を求める形ではなく、積極的に誘う表現です。
2. 強い決意・約束の「shall」に似た表現
現代英語では、この意味での「shall」は非常にフォーマルで古風な響きがあります。より一般的な表現としては「will」を使うのが自然です。
- will (~するつもりです / ~でしょう)
- 例: I will never forget your kindness. (あなたの親切を決して忘れません。)
- 「shall」が持つ「絶対にする」という強い意志を示す場合は、「definitely will」や「will certainly」のように強調する副詞を加えることもあります。
3. 法令・規則の「shall」に似た表現
法令や契約書などで使われる「~しなければならない」「~するものとする」という意味の「shall」は、以下の表現に置き換えられることがあります。
- must (~しなければならない)
- 例: The tenant must be responsible for all repairs. (テナントは全ての修繕に対して責任を負わなければならない。)
- 「must」は強い義務を表します。
- will (~するものとする)
- 例: No person will enter this area. (何人もこの区域に立ち入らないものとする。)
- 特にフォーマルな文書では、「shall」の代わりに「will」が使われることもあります。
- is/are required to (~することが義務付けられている)
- 例: The tenant is required to be responsible for all repairs. (テナントは全ての修繕に対して責任を負うことが義務付けられている。)
shallの慣用表現を確認しよう
「shall」は現代英語では使用頻度が限られているため、慣用表現もそれほど多くありませんが、いくつか特徴的なものがあります。

1. Let’s …, shall we? (~しましょう、ね?)
これは、「Let’s …」で提案した後に、「shall we?」を付け加えることで、相手の同意を促す付加疑問文の形です。比較的丁寧な響きがあります。
- 例: Let’s go for a walk, shall we? (散歩に行きましょうか、ね?)
- 例: Let’s start the meeting, shall we? (会議を始めましょうか、ね?)
2. I shall return. (私は必ず戻ってくる。)
これは、特に文学作品や映画などで登場人物が強い決意や予言めいた意味合いで使う表現です。アメリカの軍人ダグラス・マッカーサーの有名なセリフとしても知られています。
- 例: I shall return. (私は必ず戻ってくる。)
- (強い決意や使命感を示唆する)
3. You shall not pass! (お前は通れない! / 通してなるものか!)
これも文学やファンタジー作品でよく見られる、強い禁止や命令を表す表現です。「ロード・オブ・ザ・リング」のガンダルフのセリフが有名です。
- 例: You shall not pass! (お前は通れない!)
- (非常に強い禁止や拒絶を表す)
4. What shall I do? (私は何をしたらいいだろう? / どうすべきだろう?)
これは、迷いや困惑の中で、これから何をすべきか問いかけるときに使われます。
- 例: I’m lost. What shall I do? (道に迷ってしまった。どうしたらいいだろう?)
これらの慣用表現は、「shall」が持つ「提案」「強い意志」「義務・必然性」といったニュアンスが色濃く反映されています。特に2と3は、現代の日常会話ではあまり使われることはありませんが、文化的な背景を持つ表現として覚えておくと良いでしょう。
shallの基本を確認しよう
「shall」はあまり使われず、砕けた言い方としても使われなくなってきている。未来の時制において1人称で使われるものの、最近では堅い表現とされている。
主語が1人称の場合
・We shall overcome the game.
(私たちは、その試合を乗り越える。)
・We shall never forget homework.
(私たちは、宿題のことをいつまでたっても忘れない。)
このような例文の場合は、未来に対して強い決意(意思)を表現する堅い言い方となる。
主語が2・3人称の場合
・After eating lunch, you shall play the video game.
(昼食後、あなたにゲームをする時間をあげよう。)
2・3人称において、「shall」を用いることはほとんどない。皮肉で失礼な表現となるので注意が必要である。
相手の意志に関係する場合
・Shall I open the window?
(窓をあけましょうか。)
・Shall we dance?
(一緒にダンスをしませんか。)
・What shall we do?
(何をしましょうか。)
・You shall not eat the fruit of wisdom
(その知恵の実をたべてはいけない。)
※聖書や契約書などに使われることがある。
・All of the people shall be respected as indivisuals.
(すべての国民は、個人として尊重される) [日本国憲法第13条]
・Who shall beat the champion.
(誰がチャンピオンに勝てるのか。)
※「いや、勝てる人は誰もいない」などの反語の意味が含まれる。
多くの場面において「shall」は「will」に置き換えて表現しても差支えがないため、初学者にとっては、「shall」を「will」に置き換えて表現するほうが良い場合もある。
<確認>
助動詞「will」の用法について①
「will」は、未来を表現する用法として「~だろう。」との認識が強い。
名詞の意味は「意思、意図、意欲」である。
・I will go there now.
(今から、そこに行くよ。)
・I‘ll take it.
(私は、これに決めた。)
※あらかじめ考えていたことではなく、その場で生じた意思を表現する。
「shall」に関する練習問題

英文和訳 (English to Japanese)
指示: 以下の英文を日本語に訳しなさい。
- Shall I help you with your bags?
- We shall not fail.
- The tenant shall be responsible for all utility payments.
- Let’s meet tomorrow, shall we?
- I shall never forget your kindness.
- What shall we do this weekend?
- You shall not pass this point!
- The terms and conditions state that the user shall abide by the rules.
- Shall we order some sushi for lunch?
- He who hesitates shall be lost.
和文英訳 (Japanese to English)
指示: 以下の日本語を英文に訳しなさい。
- 窓を開けましょうか?
- 私たちは必ず成功するでしょう。
- 全ての参加者は、時間厳守で到着するものとする。
- 出発しましょうか、ね?
- 私はあなたを決して失望させないだろう。
- 次に何をすべきだろうか?
- お前は(ここから)動いてはならない!
- 全ての書類は、本日中に提出するものとする。
- 休憩を取りませんか?
- 彼女は自分の選択の結果に直面するだろう。
解答例
英文和訳の解答例
- お荷物をお手伝いしましょうか?
- 私たちは失敗しないでしょう。/ 私たちは必ず成功するでしょう。
- 入居者は全ての公共料金の支払いに責任を負うものとする。
- 明日会いましょうか、ね?
- 私はあなたの親切を決して忘れないだろう。
- 今週末、何をしましょうか?
- お前はこの地点を通れない! / この地点を通過してはならない!
- 規約には、利用者は規則を遵守するものと記載されている。
- 昼食に寿司を注文しましょうか?
- 躊躇する者は道に迷うだろう。/ 躊躇すれば、機会を失うだろう。
和文英訳の解答例
- Shall I open the window?
- We shall succeed.
- All participants shall arrive on time.
- Let’s depart, shall we?
- I shall never disappoint you.
- What shall we do next?
- You shall not move (from here)!
- All documents shall be submitted by today.
- Shall we take a break?
- She shall face the consequences of her choices.