mightの基本を知ろう
助動詞「might」について
「might」は、助動詞「may」の過去形としてだけでなく、現在の可能性や推量を表す際にも使われる、非常に役立つ助動詞です。主な意味は可能性、許可(非常に丁寧)、そして提案です。
1. 可能性・推量 (Possibility / Speculation)
これが「might」の最も一般的な使い方です。「〜かもしれない」「〜の可能性がある」という意味で、「may」よりも可能性が低いことを示唆するニュアンスがあります。つまり、「もしかしたらそうなるかもしれないけど、確信はない」という弱めの推量です。
- It might rain later. (後で雨が降るかもしれない。)
- (「may」より雨が降る可能性が低い、またはあまり期待していないニュアンス)
- She might be at home. (彼女は家にいるかもしれない。)
- That might be true. (それは本当かもしれない。)
- I might go to the party, but I haven’t decided yet. (パーティーに行くかもしれないけど、まだ決めていないんだ。)
「may」と「might」の違い(現在の可能性)
「may」と「might」はどちらも現在の可能性を表しますが、「might」の方が可能性が低いという違いがあります。
- He may come. (彼は来るかもしれない。) → 可能性がそこそこある
- He might come. (彼は来るかもしれない。) → 来る可能性は低い、あるいはあまり期待していない
2. 過去の可能性・推量 (Past Possibility / Speculation)
「may」の過去形として、過去における可能性や推量を表します。この場合、**「might have + 過去分詞」**の形で使われます。
- He might have forgotten about the meeting. (彼は会議のことを忘れていたのかもしれない。)
- She might have left already. (彼女はもう出発してしまったのかもしれない。)
- It might have been worse. (もっと悪くなっていたかもしれない。)
3. 丁寧な許可・依頼 (Polite Permission / Request)
「may」よりもさらに丁寧な許可の求め方や、控えめな依頼として使われます。非常にフォーマルな場面や、遠慮がちなニュアンスを出したい場合に用いられます。
- Might I make a suggestion? (提案をさせていただいてもよろしいでしょうか?)
- Might I ask who’s calling? (どちら様かお伺いしてもよろしいでしょうか?)
- (日常では「May I ask…?」や「Could I ask…?」の方が一般的です)
4. 提案・助言 (Suggestion / Advice)
「〜してみてはどうですか」「〜したらどうですか」という控えめな提案や助言として使われることもあります。
- You might want to check the schedule again. (もう一度スケジュールを確認してみるのもいいかもしれないね。)
- We might as well start without him. (彼なしで始めてもいいかもしれないね。)
「might」の否定形と疑問形
- 否定形:
might not
(短縮形は通常ありません)- It might not be true. (それは本当ではないかもしれない。)
- 疑問形:
Might
を主語の前に置きます。(非常にフォーマルまたは古風な響き)- Might he still be there? (彼はまだそこにいるのでしょうか?)
「might」は「may」と比較して「可能性が低い」というニュアンスを理解することが重要です。また、「might have + 過去分詞」の形で過去の推量を表す用法も頻繁に使われます。これらの使い方をマスターすることで、より繊細な英語表現が可能になります。
mightの類似表現を知ろう
「might」の類似表現は、その主要な意味である**可能性(推量)**の度合いや、丁寧さのニュアンスによって異なります。

1. 可能性(推量)の類似表現
「〜かもしれない」「〜の可能性がある」という、控えめな推量や不確実性を表す「might」の代替表現です。
- may:
- 「might」は「may」の過去形ですが、現在の可能性を表す際にも使われます。この場合、「may」の方が「might」よりも可能性が高いことを示唆します。
- 例: It might rain later. (後で雨が降るかもしれない。- 降る可能性は低い)
- 例: It may rain later. (後で雨が降るかもしれない。- 降る可能性がそこそこある)
- could:
- 「can」の過去形ですが、現在の控えめな推量や「〜という可能性もある」という不確実性を表す際に使われます。「might」と非常に近いニュアンスで使われることが多いです。
- 例: That might be true. (それは本当かもしれない。)
- 例: That could be true. (それは本当の可能性もある。)
- possibly / perhaps / maybe:
- 副詞を使って可能性の度合いを示します。「might」が動詞として可能性を示すのに対し、これらは文全体にかかって「もしかしたら」「おそらく」といった意味合いを加えます。
- 例: He might come. (彼は来るかもしれない。)
- 例: Possibly, he will come. / Perhaps he will come. / Maybe he will come. (もしかしたら、彼は来るだろう。)
- It is possible that S + V:
- 「〜ということが可能である/可能性がある」という客観的な事実や状況に基づく可能性を表現する際に使われます。「might」よりも、より客観的でフォーマルな響きがあります。
- 例: He might be innocent. (彼は無実かもしれない。)
- 例: It is possible that he is innocent. (彼が無実である可能性がある。)
- It is unlikely that S + V:
- 「〜の可能性は低い」という、
might
が示唆する低い可能性をより明確に表現したい場合に使うことができます。 - 例: He might come. (彼は来るかもしれない。- 来る可能性は低い)
- 例: It is unlikely that he will come. (彼が来る可能性は低い。)
- 「〜の可能性は低い」という、
2. 丁寧な許可・依頼の類似表現
「〜してもよろしいでしょうか」「〜していただけませんか」という、非常に丁寧な許可の求め方や、控えめな依頼を表す「might」の代替表現です。
- may:
- 「might」よりも一般的な丁寧さで許可や依頼を表します。「might」は「may」よりもさらに遠慮がちで、フォーマルな響きがあります。
- 例: Might I make a suggestion? (提案をさせていただいてもよろしいでしょうか?)
- 例: May I make a suggestion? (提案をしてもよろしいでしょうか?)
- could:
- 「can」よりも丁寧な依頼や許可の求め方です。日常会話では「might」よりも頻繁に使われます。
- 例: Could I ask you a question? (質問させていただけますか?)
- would you mind ~ing?:
- 「〜していただけませんか?」という、非常に丁寧な依頼の表現です。相手に手間をかけることへの配慮を示します。
- 例: Might you open the window? (窓を開けていただけますでしょうか?)
- 例: Would you mind opening the window? (窓を開けていただけませんか?)
「might」の持つ「可能性の低さ」や「控えめな丁寧さ」というニュアンスを理解し、これらの類似表現と使い分けることで、より細やかな英語表現が可能になります。
mightの慣用表現を確認しよう
助動詞「might」の慣用表現
「might」を使った慣用表現は、「may」と同様に、その持つ「可能性の低さ」や「控えめな推量」、あるいは「丁寧さ」といったニュアンスを強調する形で使われます。

1. might as well do ~
- 意味: 「〜してもいいだろう」「〜した方がましだ」「どうせ〜なら〜しよう」
- 解説: 選択肢が他にあまりない場合や、特にこだわりがない場合に、比較的消極的ながら「そうするのが妥当だろう」という判断を示す表現です。
- 例文:
- It’s raining, so we might as well stay home. (雨が降ってるから、家にいてもいいだろうね。)
- The movie starts in 10 minutes, so we might as well go now. (映画は10分で始まるから、もう行った方がいいかもしれない。)
- I don’t have anything else to do, so I might as well help you. (他に何もすることがないから、君を手伝ってもいいだろう。)
2. you might want to do ~
- 意味: 「〜した方がいいかもしれない」「〜してみてはいかがですか」
- 解説: 相手への控えめな提案や助言をするときに使います。「should」や「had better」のような強い義務感や忠告ではなく、「〜という選択肢もあるよ」「そうすると良い結果になるかもね」といった柔らかいニュアンスです。
- 例文:
- You might want to check the schedule again. (もう一度スケジュールを確認してみた方がいいかもしれないね。)
- We might want to leave early to avoid traffic. (渋滞を避けるために、早めに出発するのもいいかもしれないね。)
3. might have + 過去分詞 (慣用的な使い方)
- 意味: 「〜していたかもしれない(実際はしなかった)」「〜すべきだったかもしれない(控えめな後悔・批判)」
- 解説: 「could have + 過去分詞」と似ていますが、「might」を使うことで、可能性が低かったり、より控えめなニュアンスになります。過去の出来事に対する推量や、軽い後悔・批判を表す際に使われます。
- 例文:
- You might have told me that earlier. (もっと早く私に言ってくれてもよかったのに。)
- (強い批判ではなく、軽く残念な気持ちを表す)
- I might have forgotten my keys at home. (家に鍵を忘れてきたかもしれない。)
- (確信度が低い推量)
- You might have told me that earlier. (もっと早く私に言ってくれてもよかったのに。)
4. for all one might know
- 意味: 「もしかしたら〜かもしれない」「知る限りでは〜かもしれない」
- 解説: 話し手が確信を持てないが、ある可能性を考慮に入れるべきだと示唆する表現です。
- 例文:
- He hasn’t answered the phone. For all I might know, he’s already left the country. (彼は電話に出ない。もしかしたら、もう国を出てしまったかもしれない。)
これらの慣用表現を理解することで、「might」の持つ微妙なニュアンスをより正確に捉え、自然な英語表現に繋げることができます。特に「might as well」や「you might want to」は日常会話でよく使われるので、ぜひ覚えて使ってみてください。
mightを深めよう
「may」の過去形として、「might」になる。
「may」よりもより丁寧な表現となる。
・When I was a high school teacher, Kate might be genius at that time.
(私が高校の教員だったとき、ケイトはその時点で天才だったのかもしれない。)
・Might I leave me alone?
(一人にしていただけないでしょうか。)
・You might pick up the phone as soon as possible.
(できるだけ早く電話にでてもらえないのでしょうか。)
・You might beat the opponent.
(ひょっとしたら相手を倒せるかもしれない。)
・He might solve the biggest issue.
(彼は、最大の問題を解決するかもしれない。)
推量の「may」と比べて「might」の方が見込みが低いとされているが、実際には大差がないこともある。
「might」には「could」と同様に仮定の意味が含まれていることがある。
<復習>
助動詞の「may」には、「許可」、「推量」、「容認」、「祈願」、「目的や譲歩」などの意味がある。
「can」よりも少し形式的な表現となるが、疑問文で使う場合はより「can」よりも丁寧な表現となる。一方で、肯定文で相手に許可を与える場合には、横柄な言い方となるため注意が必要である。
・May I talk to you now?
(今話しかけもいいですか。)
・You may play the video game.
(テレビゲームをしてもいいですよ。)
「might」に関する練習問題

英文和訳 (Translate the following English sentences into Japanese.)
- It might rain later, but the sky looks clear for now.
- He might be busy, so I’ll call him back later.
- She might have left her keys at home.
- You might want to double-check the address.
- We might as well order pizza since we’re too tired to cook.
- If I had known, I might have helped you.
- They might not agree with our proposal.
- Might I suggest a different approach?
- He might have forgotten about our appointment.
- For all I might know, he’s already on his way to Osaka.
和文英訳 (Translate the following Japanese sentences into English.)
- 彼は来るかもしれないけど、多分来ないだろう。
- 彼女はどこかへ行ったのかもしれない。
- 彼に電話をしてみた方がいいかもしれません。
- どうせ暇なんだから、散歩に行ってもいいだろう。
- 彼らはこのニュースをまだ聞いていないかもしれない。
- もし私がそこにいたら、彼を助けられたかもしれない。
- もう少し時間をいただけませんか?(非常に丁寧な依頼)
- あなたは傘を持って行った方がいいかもしれません。
- 彼は会議の時間を間違えたのかもしれない。
- 知る限りでは、それはまだ機密事項であるかもしれません。
解答 (Answers)
英文和訳
- 後で雨が降るかもしれないが、今は空は晴れている。
- 彼は忙しいかもしれないので、後でかけ直します。
- 彼女は家に鍵を置いてきてしまったのかもしれない。
- 住所をもう一度確認してみるのもいいかもしれません。
- 料理するには疲れすぎているから、ピザを注文してもいいだろう。
- もし知っていたら、私はあなたを助けられたかもしれない。
- 彼らは私たちの提案に同意しないかもしれない。
- 別のやり方を提案させていただいてもよろしいでしょうか?
- 彼は私たちの約束を忘れてしまったのかもしれない。
- 私が知る限りでは、彼はすでに大阪へ向かっているかもしれない。
和文英訳
- He might come, but probably won’t.
- She might have gone somewhere.
- You might want to call him.
- Since I’m free anyway, I might as well go for a walk.
- They might not have heard the news yet.
- If I had been there, I might have helped him.
- Might I have a little more time?
- You might want to take an umbrella.
- He might have mistaken the time of the meeting.
- For all I might know, it is still confidential.