受動態の基本を知ろう
受動態は、**「〜される」**という意味を表す文法形式です。動作を行う人(主語)ではなく、動作の対象となるものを主役にしたいときに使います。
受動態の基本的な形
受動態は、be動詞 + 過去分詞 の形で表されます。
- be動詞: 主語と時制に合わせて形が変わります(am, is, are, was, wereなど)。
- 過去分詞: 動詞の3番目の形です。
基本文型:
- 能動態:
主語 + 動詞 + 目的語
- 受動態:
目的語 + be動詞 + 過去分詞 + by + 主語
例文:
- 能動態:
My mother
made
this cake.
(母がこのケーキを作った。) - 受動態:
This cake
was made
by my mother.
(このケーキは母によって作られた。)
この例では、能動態の目的語 this cake
が受動態の主語になり、能動態の主語 my mother
は by
の後に置かれます。
受動態を使う理由
受動態を使う主な理由は以下の通りです。
- 動作を行った人が不明、または重要でないとき:
The window **was broken** last night.
(窓が昨夜割られた。)- 誰が割ったかは重要ではありません。
- 動作の対象を強調したいとき:
This book **was written** by a famous author.
(この本は有名な作家によって書かれた。)- 本そのものに焦点を当てたい場合に使います。
- 一般的な事実やルールを述べるとき:
English **is spoken** in many countries.
(英語は多くの国で話されている。)- 特定の誰かではなく、一般的な事実を述べています。
受動態にできない動詞
自動詞は目的語を持たないため、受動態にすることはできません。
arrived
(到着した)やslept
(寝た)のような自動詞は、動作が主語だけで完結するため、受動態の形にはなりません。- 正:
The train arrived at the station.
- 誤:
The station was arrived at by the train.
受動態の書き換えについて知ろう
受動態の書き換えについて、基本的なルールと例文を交えて説明します。

受動態への書き換えの基本ルール
受動態は「主語が〜される」という文で、**能動態の文の「目的語」**を文の主語にすることで作られます。
- 能動態の目的語を受動態の主語にする。
- 能動態の動詞を**「be動詞 + 過去分詞」**の形に変える。このbe動詞は、能動態の時制と新しい主語(元の目的語)に合わせて変化させる。
- 能動態の主語を**「by + 動作主」**として文の最後に置く。もし動作主が誰か不明だったり、重要でなかったりする場合は省略できる。
基本形:
- 能動態:
主語 + 動詞 + 目的語
- 受動態:
目的語 + be動詞 + 過去分詞 + (by + 主語)
例文:
- 能動態:
He wrote this book.
(彼はこの本を書いた。)- 能動態の目的語
this book
を主語にする。 wrote
は過去形なので、be動詞も過去形was
にし、wrote
の過去分詞written
を続ける。- 能動態の主語
He
をby him
として文末に置く。
- 能動態の目的語
- 受動態:
This book was written by him.
(この本は彼によって書かれた。)
時制ごとの書き換え
受動態のbe動詞は、能動態の時制によって変化します。
1. 現在形
- 能動:
She **makes** delicious cakes.
(彼女は美味しいケーキを作る。) - 受動:
Delicious cakes **are made** by her.
(美味しいケーキは彼女によって作られる。)
2. 過去形
- 能動:
They **built** this house.
(彼らがこの家を建てた。) - 受動:
This house **was built** by them.
(この家は彼らによって建てられた。)
3. 未来形
- 能動:
We **will solve** the problem.
(私たちがその問題を解決するだろう。) - 受動:
The problem **will be solved** by us.
(その問題は私たちによって解決されるだろう。)
4. 進行形
- 能動:
He **is writing** a letter.
(彼は手紙を書いているところだ。) - 受動:
A letter **is being written** by him.
(手紙は彼によって書かれているところだ。)
5. 完了形
- 能動:
She **has finished** the report.
(彼女はその報告書を終えた。) - 受動:
The report **has been finished** by her.
(その報告書は彼女によって終えられた。)
受動態が好まれるときを知ろう
受動態は、文の中で動作を行う人や物よりも、動作の対象を強調したい場合に好んで使われます。主に以下の4つの状況で使われることが多いです。

1. 動作を行った人が不明、または重要でない場合
誰がその動作をしたか分からないときや、それが話題の中心ではないときに使われます。
The window was broken last night.
(窓が昨夜割られた。)- 窓が割られたという事実が重要であり、誰が割ったかは焦点ではありません。
2. 動作の対象を強調したい場合
能動態では目的語だったものを、文頭に置くことで、読み手や聞き手の注意を引くことができます。
This book was written by a famous author.
(この本は有名な作家によって書かれた。)- 作家よりも、本そのものに焦点を当てています。
3. 一般的な事実やルールを述べるとき
不特定多数の人々が関わる行為や、一般的な事実、規則を述べるときによく使われます。
English is spoken in many countries.
(英語は多くの国で話されている。)- 特定の誰かではなく、英語が話されているという一般的な状況を述べています。
4. 責任をぼかす場合
誰が責任を負うのかをあいまいにするために、あえて受動態が使われることがあります。特に、ビジネスや公式な文書でよく見られます。
A mistake was made.
(ミスがなされた。)- 「誰がミスをしたか」を明確にせず、ミスという事実だけを客観的に伝えています。
受動態を再確認しよう
受動態とは?
動作を受ける側を主語にする文のことです。
- 例: This book was written by John. (この本はジョンによって書かれた。)
受動態の作り方
- be動詞 + 過去分詞
- be動詞は、主語の時制によって変化します。(is, am, are, was, were, being, been)
- 過去分詞は、動詞の形が変わります。
受動態を使う理由
- 動作を受ける側を強調したい時
- 動作主体を言及したくない時
- 文をよりフォーマルにしたい時
受動態の例
- The car was stolen. (車は盗まれた。)
- This house was built in 1990. (この家は1990年に建てられた。)
- English is spoken in many countries. (英語は多くの国で話されている。)
受動態の注意点
- 全ての動詞が受動態になれるわけではない (自動詞は一般的に受動態にならない)
- by + 行為者 で、動作を行った人を表す
受動態の練習問題
次の文を、受動態に書き換えてみましょう。
- Tom wrote a letter.
- They built a new house.
- She cleaned the room.
解答例
- A letter was written by Tom.
- A new house was built by them.
- The room was cleaned by her.
受動態と他の文法との組み合わせ
- 不定詞との組み合わせ: The book is expected to be published next month. (その本は来月出版される予定だ。)
- 分詞構文との組み合わせ: Seen from the mountain, the city looked beautiful. (山から見ると、その都市は美しく見えた。)
受動態を使う場面
- ニュース記事: 客観的な事実を伝えるために使われることが多い。
- 説明書: 操作手順を説明する際に使われる。
- 論文: 研究結果などを客観的に述べる際に使われる。
まとめ
受動態は、英文法の重要な要素の一つです。しかし、日本語の「~される」という表現と直結して考えるのではなく、文全体の構造や何を強調したいかを考えて使い分けましょう。
受動態に関する練習問題に挑戦しよう

問題
英文和訳(以下の英文を和訳しなさい)
- This book was written by a famous author.
- The city was destroyed by the earthquake.
- The window was broken last night.
- English is spoken in many countries.
- All flights were canceled due to the storm.
- The report has been completed.
- A new school will be built next year.
- My car was stolen last week.
- This song is loved by many people.
- The project was finished ahead of schedule.
和文英訳(以下の日本語を受動態を使って英訳しなさい)
- その間違いは彼によってなされました。
- この家は100年前に建てられました。
- その規則は来週発表されるでしょう。
- このチーズはイタリアで作られています。
- 私の財布は誰かに盗まれました。
- このニュースは世界中で伝えられました。
- そのプロジェクトはすでに完了しています。
- 彼の自転車は修理されているところです。
- 会議は明日開催される予定です。
- 多くの人々がその事故で負傷しました。
解答
英文和訳
- この本は有名な作家によって書かれました。
- その都市は地震によって破壊されました。
- その窓は昨夜割られました。
- 英語は多くの国で話されています。
- その嵐のため、すべての便が欠航されました。
- その報告書は完了しました。
- 来年、新しい学校が建てられるでしょう。
- 私の車は先週盗まれました。
- この歌は多くの人々に愛されています。
- そのプロジェクトは予定より早く終わりました。
和文英訳
- The mistake was made by him.
- This house was built 100 years ago.
- The rule will be announced next week.
- This cheese is made in Italy.
- My wallet was stolen by someone.
- The news was reported all over the world.
- The project has already been completed.
- His bicycle is being repaired.
- The meeting will be held tomorrow.
- Many people were injured in the accident.