不定詞の基本を確認しよう
不定詞とは何か
不定詞は、動詞の原形に to をつけた形です。
- to + 動詞の原形
例:to eat (食べる), to play (遊ぶ), to study (勉強する)
不定詞は、動詞でありながら、文の中で名詞、形容詞、副詞という3つの役割を果たすことができます。このため、「定まった品詞を持たない」という意味で「不定詞」と呼ばれます。
不定詞の3つの用法
不定詞の最も重要な点は、この3つの使い方を理解することです。
1. 名詞的用法 (〜すること)
文の主語、補語、目的語になります。「〜すること」という意味です。
- 主語 (文の先頭にくる)
- To read books is fun. (本を読むことは楽しい。)
- 補語 (be動詞の後にくる)
- My dream is to travel the world. (私の夢は世界を旅することです。)
- 目的語 (特定の動詞の後にくる)
- I want to learn French. (私はフランス語を学びたい。)
2. 形容詞的用法 (〜するための、〜すべき)
名詞の後にきて、その名詞を修飾します。「〜するための」「〜すべき」という意味になります。
- Do you have anything to drink? (何か飲むためのものはありますか?)
- I have a lot of homework to do. (私にはすべき宿題がたくさんある。)
3. 副詞的用法 (〜するために、〜して)
動詞や形容詞を修飾します。主に「〜するために」という目的を表します。
- 目的
- I went to the library to study. (私は勉強するために図書館へ行った。)
- 感情の原因 (happy, sad, surprisedなどの感情を表す形容詞の後)
- She was happy to see him. (彼女は彼に会えてうれしかった。)
- 判断の根拠 (kind, clever, carelessなどの人の性質を表す形容詞の後)
- It was kind of you to help me. (私を手伝ってくれるなんて、あなたは親切だ。)
不定詞のその他の形
- to不定詞の否定形:
not
を to の直前に置きます。- I decided not to go there. (私はそこへ行かないことに決めた。)
- 原形不定詞:
to
をつけずに動詞の原形だけで使われることがあります。- 知覚動詞 (see, hear, feelなど) や 使役動詞 (make, have, let) の後
- I saw him run. (彼が走るのを見た。)
- My mother made me clean my room. (母は私に部屋を掃除させた。)
原形不定詞について知ろう
原形不定詞は、toを伴わない動詞の原形のことです。主に以下の3つの文脈で使われます。

1. 使役動詞の目的語補語として
make, have, letといった使役動詞の目的語(〜に…させる)がする動作は、原形不定詞で表します。
- make(〜に無理やり…させる): He made me wait for a long time.(彼は私を長い時間待たせた。)
- have(〜に…してもらう): She had her brother carry the box.(彼女は弟にその箱を運んでもらった。)
- let(〜に自由に…させる): My mother lets me go to parties.(母は私をパーティーに行かせてくれる。)
2. 知覚動詞の目的語補語として
see, hear, feel, watch, noticeといった知覚動詞の目的語(〜が…するのを…)がする動作は、原形不定詞で表します。
- I saw him cross the street.(彼が通りを渡るのを見た。)
- She heard the baby cry.(彼女は赤ちゃんが泣くのを聞いた。)
- We watched the sun set.(私たちは日が沈むのを見た。) ※進行中の動作を強調したい場合は、動名詞(V-ing)を使うこともできます。
- I saw him crossing the street.(彼が通りを渡っているところを見た。)
3. その他
上記の他に、原形不定詞が使われる主なケースは以下の通りです。
- 助動詞の直後:動詞の原形は助動詞の後にきます。
- You must study harder.(もっと一生懸命勉強しなければならない。)
Why not ... ?
:提案や勧誘の表現で使われます。- Why not go to the movies tonight?(今夜、映画を見に行きませんか?)
all
やwhat
で始まる強調構文:all
やwhat
が目的語の代わりになるときに使われます。- All I did was listen to him.(私がしたのは彼に耳を傾けることだけだった。)
不定詞と動名詞との違いを確認しよう
動名詞と不定詞は、どちらも動詞から作られますが、文の中での役割や意味合いに違いがあります。

1. 不定詞と動名詞の共通点
不定詞と動名詞は、どちらも「〜すること」という意味で、文の主語、補語、目的語になることができます。
- 不定詞: To swim is fun. (泳ぐことは楽しい。)
- 動名詞: Swimming is fun. (泳ぐことは楽しい。)
2. 不定詞と動名詞の主な違い
特徴 | 不定詞 (to + 動詞の原形) | 動名詞 (動詞 + -ing) |
意味合い | これからすること、未来志向 | すでにしていること、一般的な行為、過去や現在 |
動詞の目的語 | want , decide , hope など、未来や意図を表す動詞の後に使う | enjoy , finish , stop , avoid など、現在や過去の行為を表す動詞の後に使う |
意味の変化 | 動詞によっては、不定詞と動名詞で意味が変わる | 動詞によっては、不定詞と動名詞で意味が変わる |
違いを理解する例
- 意味合いの違い
- I want to go to the park. (これから公園に行きたい。)
- I enjoy playing tennis. (テニスをすることを楽しんでいる。)
- 動詞の目的語
- He decided to study abroad. (彼は留学することに決めた。)
decide
(決める)は未来の行動を表すため、不定詞を使います。
- I finished reading the book. (私はその本を読み終えた。)
finish
(終える)はすでに完了した行動を表すため、動名詞を使います。
- He decided to study abroad. (彼は留学することに決めた。)
- 意味が変わる動詞
- remember:
- Remember to buy milk. (牛乳を買うことを覚えておいてね。👉 これからすること)
- I remember meeting him before. (以前に彼に会ったことを覚えている。👉 過去にしたこと)
- stop:
- He stopped to take a picture. (彼は写真を撮るために立ち止まった。👉 目的)
- He stopped smoking. (彼はタバコを吸うのをやめた。👉 行為の終了)
- remember:
独立不定詞とは?
独立不定詞とは、文の主語や動詞と直接の関係がないにも関わらず、文全体を修飾する不定詞のことで、文頭に置かれることが多いです。

特徴
- 文の主語や動詞と直接の関係がない: 文の主語や動詞とは別の、付加的な情報を提供します。
- 慣用的な表現が多い: 「To tell the truth」(正直に言うと)、「To be frank」(率直に言うと)など、決まった組み合わせで使われることが多いです。
- 文全体を修飾する: 文全体に対して、ある程度客観的な視点からコメントを加えるような働きをします。
独立不定詞の働き
- 理由や原因の補足:
- To be honest, I don’t like this movie. (正直に言うと、この映画は好きじゃない。)
- 譲歩:
- To be sure, he is a good man. (確かに、彼は良い人だ。)
- 結論:
- To sum up, we need more time. (まとめると、もっと時間が欲しい。)
- 時間の経過:
- To begin with, let’s talk about the plan. (まず最初に、計画について話しましょう。)
- 強調:
- To tell you the truth, I’m worried. (正直に言うと、心配している。)
よく使われる独立不定詞の例
- To be honest: 正直に言うと
- To be frank: 率直に言うと
- To be brief: 手短かに言うと
- To be sure: 確かに
- To tell the truth: 正直に言うと
- To begin with: まず第一に
- To make a long story short: 手短かに言うと
- To sum up: まとめると
- To say nothing of: …はもちろんのこと
- To make matters worse: 一層悪いことに
独立不定詞の注意点
- 文の構造: 文の最初に置かれ、コンマで区切られることが多いです。
- 意味: 文全体に対して、副詞のような働きをします。
- 慣用表現: 多くの場合、決まった組み合わせで使われます。
まとめ
独立不定詞は、文章にニュアンスを加え、より自然な表現にするための便利なツールです。しかし、慣用的な表現が多いので、しっかりと覚えて使いこなすことが大切です。
独立不定詞に関する練習問題に挑戦しよう!
独立不定詞の理解を深めるための練習問題を和訳・英訳それぞれ10問ずつ作成しました。

問題
英文和訳 (以下の英文を和訳しなさい)
- To be honest, I don’t really like this movie.
- To tell the truth, I have no idea what he is talking about.
- To make matters worse, she lost her keys on the way home.
- Strange to say, I feel more energetic in the morning.
- To begin with, let me introduce myself.
- To be fair, the project was difficult for everyone.
- To say the least, the results were disappointing.
- So to speak, he is a walking dictionary.
- To be precise, the meeting will start at 10:35 a.m.
- Needless to say, health is more important than wealth.
和文英訳 (以下の日本語を独立不定詞を使って英訳しなさい)
- 正直に言うと、私はその計画に反対です。
- 本当のことを言えば、私はそのニュースに驚きました。
- さらに悪いことに、私は財布を失くしてしまいました。
- 奇妙な話ですが、私は彼女のことを知っている気がします。
- まず最初に、いくつか質問があります。
- 公平に言えば、彼が間違っているわけではありません。
- 控えめに言っても、そのパフォーマンスは素晴らしかった。
- いわば、彼は私の心の支えです。
- 正確に言うと、彼女の家は駅の隣にあります。
- 言うまでもなく、彼はその分野の第一人者です。
解答
英文和訳
- 正直に言うと、私はこの映画があまり好きではありません。
- 本当のことを言えば、彼が何を話しているのか全く分かりません。
- さらに悪いことに、彼女は家に帰る途中で鍵をなくしました。
- 奇妙な話ですが、私は朝の方が元気です。
- まず最初に、自己紹介をさせてください。
- 公平に言えば、そのプロジェクトは誰にとっても難しかった。
- 控えめに言っても、その結果は残念なものだった。
- いわば、彼は歩く辞書です。
- 正確に言うと、会議は午前10時35分に始まります。
- 言うまでもなく、健康はお金よりも大切です。
和文英訳
- To be honest, I am against the plan.
- To tell the truth, I was surprised by the news.
- To make matters worse, I lost my wallet.
- Strange to say, I feel like I know her.
- To begin with, I have a few questions.
- To be fair, he is not wrong.
- To say the least, the performance was great.
- So to speak, he is my rock.
- To be precise, her house is next to the station.
- Needless to say, he is a leading authority in that field.