不定詞(Infinitive)は、動詞の原形に to
をつけた形、または to
をつけない原形のみの形で、文中で名詞、形容詞、副詞のように働きます。
to不定詞(To-Infinitive)
to不定詞は「to + 動詞の原形」の形をとり、3つの主要な用法があります。
- 名詞的用法:「〜すること」という意味で、文の主語、目的語、補語になります。
- To learn English is fun.(英語を学ぶことは楽しい。)
- I want to go home.(私は家に帰りたい。)
- My dream is to travel the world.(私の夢は世界中を旅することだ。)
- 形容詞的用法:直前の名詞を修飾し、「〜するための」「〜すべき」という意味を表します。
- I have a lot of homework to do.(私にはすべき宿題がたくさんある。)
- He needs a pen to write with.(彼には書くためのペンが必要だ。)
- 副詞的用法:動詞や形容詞を修飾し、「〜するために(目的)」や「〜して(理由)」などの意味を表します。
- He came here to see me.(彼は私に会うためにここに来た。)
- I was happy to hear the news.(その知らせを聞いて嬉しかった。)
原形不定詞(Bare Infinitive)
原形不定詞は「動詞の原形のみ」の形で、特定の動詞や表現の後にのみ使われます。
- 助動詞の後:
can
,will
,must
,should
などの後に続きます。- You can speak English.(あなたは英語を話せる。)
- I will meet him.(私は彼に会うだろう。)
- 知覚動詞の後:
see
,hear
,watch
などの後に「目的語 + 原形不定詞」の形で続きます。- I saw him play soccer.(彼がサッカーをするのを見た。)
- 使役動詞の後:
make
,have
,let
などの後に「目的語 + 原形不定詞」の形で続きます。- My mother made me clean my room.(母は私に部屋を掃除させた。)
不定詞の否定形
不定詞を否定形にする場合は、to
の直前に not
を置きます。
- I decided not to go.(私は行かないことに決めた。)
- He told me not to be late.(彼は私に遅れないように言った。)
不定詞の分類の方法について知ろう
不定詞は、文中で名詞、形容詞、副詞という3つの異なる役割を果たすことができます。この役割の違いが、不定詞の用法分類の基本です。

1. 名詞的用法
不定詞が名詞と同じように使われ、「〜すること」という意味になります。文中で主語、目的語、補語の役割を担います。
- 主語:文の最初にきて、動作の主体となります。
- To read is my hobby. (本を読むことは私の趣味です。)
- 目的語:動詞の後にきて、動作の対象となります。
- I want to go home. (私は家に帰りたい。)
- 補語:
be
動詞などの後にきて、主語の状態や内容を説明します。- My dream is to travel the world. (私の夢は世界中を旅することです。)
2. 形容詞的用法
不定詞が形容詞のように名詞を修飾し、「〜するための」「〜すべき」といった意味になります。修飾する名詞の直後に置かれます。
- I have a lot of homework to do. (私にはすべき宿題がたくさんあります。)
- He needs a pen to write with. (彼には書くためのペンが必要です。)
3. 副詞的用法
不定詞が副詞のように、動詞、形容詞、または文全体を修飾します。主に「〜するために」という目的を表すことが多いですが、他にも様々な意味があります。
- 目的:〜するために
- He came here to see me. (彼は私に会うためにここに来た。)
- 感情の原因:〜して
- I was happy to hear the news. (その知らせを聞いて嬉しかった。)
- 判断の根拠:〜するとは
- He must be rich to buy such a car. (そんな車を買うとは、彼はお金持ちに違いない。)
- 結果:〜した結果
- He woke up to find the house empty. (彼は目が覚めると、家がもぬけの殻になっていることに気づいた。)
このように、不定詞はたった一つの形でありながら、文中で多様な役割を果たすことができる非常に便利な文法要素です。
to不定詞の分類が難しい時を知ろう
不定詞の分類は、文脈によって名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法のどれに当てはまるか判断するのが難しい場合があります。特に、以下の3つのケースで分類に迷うことが多いです。

1. 形容詞的用法と副詞的用法が似ているケース
形容詞的用法も副詞的用法も、名詞の後に続くことがあるため、見分けが難しいことがあります。
【ポイント】 不定詞が名詞を修飾しているか、それとも動詞の目的を表しているかを考えましょう。
- He needs a pen to write with.
- この場合、
to write with
は直前の名詞a pen
を修飾しており、「書くためのペン」という意味なので形容詞的用法です。
- この場合、
- He came to my room to write a letter.
- この場合、
to write a letter
は動詞came
を修飾しており、「手紙を書くために来た」という目的を表しているので副詞的用法です。
- この場合、
2. 形容詞的用法と名詞的用法が似ているケース
「〜する」という意味の動詞の後に続く場合、どちらの用法か迷うことがあります。
【ポイント】 文の構造が「主語+動詞+to不定詞」の形になっている場合、不定詞が動詞の目的語になっていれば名詞的用法です。
- I want to go.
want
は「〜したい」という動詞で、to go
はwant
の目的語になっているので名詞的用法です。
しかし、「主語+動詞+名詞+to不定詞」の形の場合、不定詞が直前の名詞を修飾しているか判断する必要があります。
- I have a lot of things to do.
to do
はa lot of things
を修飾しており、「すべきこと」という意味なので形容詞的用法です。
3. 文脈によって複数の解釈ができるケース
不定詞が複数の意味に取れる場合もあります。
- I’m looking for a place to live.
a place
という名詞をto live
が修飾しているので、「住むための場所」となり、形容詞的用法が自然です。
- I’m looking for a place to rest.
- これも形容詞的用法で「休むための場所」と解釈できますが、「(休むために)場所を探している」と、動詞
looking for
の目的と解釈することもできます。この場合は副詞的用法と考えることも可能です。
- これも形容詞的用法で「休むための場所」と解釈できますが、「(休むために)場所を探している」と、動詞
不定詞の分類を深く知ろう
「to不定詞」には、「名詞・形容詞・副詞」などの役割をする。
「to不定詞」の名詞用法
主語としての用法
主語としての用法では、「~ということ」という意味で表現されることが多い。
・It is easy to find the answer.
(答えを見つけることは、簡単だ。)
・It is hard to pass the exam.
(試験に合格することは難しい。)
・To speak English is difficult.
(英語を話すことは、難しい。)
・To pass the exam is hard.
(試験に合格することは、難しい。)
①のように「it」を形式主語として扱い表現することが一般的であるが、②の場合は「to不定詞」が対比的に使われたりする場合に扱うことが多い。
目的語としての用法
・I want to see a movie.
(映画を観たい。)
・I hope to go shopping.
(買い物に行きたい。)
他動詞の目的語に「to不定詞」を用いて表現することが多い。
未来に向かって「~したい、~しよう」と表現する場合に「to不定詞」を使って表現する。
・We didn’t have no option except to study abroad.
(私たちは、留学する以外に選択肢がなかった。)
「butやexcept」の後に「to不定詞を用いて表現をする。」
「butやexcept」の前に、「no [chance, option, imagination]」などを用いて表現することが多い。
補語としての用法
・My dream is to be rich with you.
(私の夢は、あなたと共に裕福になることだ。)
・I believe my son to be kindness.
(書き換え)⇒I belive that my son is kindness.
(私は)、息子が優しいと信じている。)
名詞と同格の用法
・My daughter told me desire to be a great singer.
(私の娘は、私に偉大な歌手になりたいという願望があることを話した。)
「to」の前置詞の性質上「to不定詞」は未来を表現する場合が多い。このことから、「desire(願望)、effort(努力)、hope(望み)、decision(決意)」などの未来志向の動詞との相性が良い。
不定詞の表す「時」について
不定詞は本来、時制を持っていないが、文脈でその「時」を表現することが多い。
完了形の不定詞には、文の述語動詞よりも「前」のことを表現する役割もある。
述語動詞の示す「時」と「同じ」か「それよりも後」に起こることを表現する場合
・Japan is said to be a place of safe.
(書き換え)⇒It is said that Japan is a place of safe.
(日本は、安全な場所と言われている。)
・I hope to enjoy singing a song.
(書き換え)⇒I hope that I will enjoy singing a song.
(私は、楽しく歌を歌えることを期待している。)
・I expect to sell my car more expensive.
(書き換え)⇒I expect that my car will sell more expensive.
(私の車は、もっと高く売れると思います。)
述語動詞がの示す「時」よりも「前」に起きたことを表現する場合
「完了不定詞」を使うことで「前」に起きたことを表現することができる。
・He wants to have been a great doctor for ten years.
(彼は、10年間もの間、偉大な医者になりたがっていた。)
・Mike is said to have won the big game.
(書き換え)⇒ It is said that Mike won the big game.
(マイクが、大きな試合に勝ったと言われる。)
不定詞の用法 練習問題

英文和訳 (English to Japanese)
指示: 以下の英文を日本語に訳し、不定詞の用法(名詞的、形容詞的、副詞的)を答えなさい。
- To travel is my passion.
- I want to buy a new car.
- He came here to see me.
- My dream is to become a doctor.
- I have a lot of homework to do.
- She was happy to hear the news.
- It is difficult to learn a new language.
- He needs a chair to sit on.
- She studied hard to pass the exam.
- I’m looking for a place to live.
和文英訳 (Japanese to English)
指示: 以下の日本語を不定詞を使って英文に訳し、不定詞の用法(名詞的、形容詞的、副詞的)を答えなさい。
- 本を読むことは楽しい。
- 私はあなたに会うためにここに来た。
- 私の目標は英語を上手に話すことだ。
- 私には書くべき手紙がたくさんある。
- その知らせを聞いて、私は驚いた。
- 彼の趣味はギターを弾くことです。
- 彼女は試験に合格するために一生懸命勉強した。
- 私は行くべき場所がたくさんある。
- 彼がそんなに早く走るなんて、速いドライバーに違いない。
- その問題は解決するのが難しい。
解答例
英文和訳の解答例
- 旅をすることは私の情熱です。(名詞的用法)
- 私は新しい車を買いたい。(名詞的用法)
- 彼は私に会うためにここに来た。(副詞的用法)
- 私の夢は医者になることです。(名詞的用法)
- 私にはすべき宿題がたくさんある。(形容詞的用法)
- 彼女はニュースを聞いて嬉しかった。(副詞的用法)
- 新しい言語を学ぶことは難しい。(名詞的用法)
- 彼には座るための椅子が必要だ。(形容詞的用法)
- 彼女は試験に合格するために一生懸命勉強した。(副詞的用法)
- 私は住むための場所を探している。(形容詞的用法)
和文英訳の解答例
- To read books is fun. (名詞的用法)
- I came here to see you. (副詞的用法)
- My goal is to speak English well. (名詞的用法)
- I have a lot of letters to write. (形容詞的用法)
- I was surprised to hear the news. (副詞的用法)
- His hobby is to play the guitar. (名詞的用法)
- She studied hard to pass the exam. (副詞的用法)
- I have many places to go. (形容詞的用法)
- He must be a fast driver to run so fast. (副詞的用法)
- The problem is difficult to solve. (副詞的用法)