不定詞の基本について知ろう
不定詞 (Infinitive) は、英語の動詞の形の一つで、動詞の原形に to
がついた形(to不定詞)、または**to
がつかない原形のみの形(原形不定詞)のことです。動詞でありながら、文中で名詞、形容詞、副詞**のように働くことができます。
to不定詞 (To-Infinitive)
最も一般的な不定詞の形です。to + 動詞の原形
で構成されます。
名詞的用法
文中で主語、目的語、補語の役割を果たし、「〜すること」という意味になります。
- 主語として: To learn English is fun. (英語を学ぶことは楽しい。)
- 動詞の目的語として: I want to go home. (私は家に帰りたい。)
- 補語として: My dream is to travel around the world. (私の夢は世界中を旅することだ。)
形容詞的用法
直前の名詞を修飾し、「〜するための」「〜すべき」という意味を表します。
- I have a lot of homework to do. (私にはすべき宿題がたくさんある。)
- He needs a pen to write with. (彼には書くためのペンが必要だ。)
副詞的用法
動詞、形容詞、または副詞を修飾し、目的、原因・理由、結果、判断の根拠などを表します。
- 目的: He came here to see me. (彼は私に会うためにここに来た。)
- 原因・理由: I was happy to hear the news. (その知らせを聞いて嬉しかった。)
- 結果: He grew up to be a famous musician. (彼は成長して有名な音楽家になった。)
- 判断の根拠: He must be rich to buy such a car. (そんな車を買うとは、彼はお金持ちに違いない。)
- 形容詞の修飾: This problem is difficult to solve. (この問題は解決するのが難しい。)
原形不定詞 (Bare Infinitive)
to
を伴わず、動詞の原形のみで使われる形です。
助動詞の後
can
, will
, must
, should
, may
などの助動詞の後に続きます。
- I can swim. (私は泳ぐことができる。)
- You must study. (あなたは勉強しなければならない。)
知覚動詞の目的語の補語として
see
, hear
, feel
, watch
, notice
などの知覚動詞の後に「目的語 + 原形不定詞」の形で続きます。目的語がその動作を最初から最後まで行ったことを示します。
- I saw him play soccer. (彼がサッカーをするのを見た。)
- She heard me sing a song. (彼女は私が歌を歌うのを聞いた。)
使役動詞の目的語の補語として
make
, have
, let
などの使役動詞の後に「目的語 + 原形不定詞」の形で続きます。目的語に何かをさせる、してもらう、させてやるといった意味を表します。
- My mother made me clean my room. (母は私に部屋を掃除させた。)
- I’ll let you use my computer. (私のコンピューターを使わせてあげるよ。)
- He had me fix his car. (彼は私に車を修理させた。)
had better
と would rather
の後
「〜した方がよい」「むしろ〜したい」という意味を表す表現の後に続きます。
- You had better go now. (今すぐ行ったほうがいい。)
- I would rather stay home. (私は家にいたい。)
不定詞の否定形
不定詞の否定形は、to
の直前に not
を置きます。
- I decided not to go. (私は行かないことに決めた。)
- He told me not to be late. (彼は私に遅れないように言った。)
主語について知ろう
主語(Subject)は、文の中で動作を行う人や物、または状態の主体となる名詞や代名詞のことです。主語がなければ文は成立しない、文の最も重要な要素です。

主語の主な役割
- 動作の主体: 動詞が表す動作を誰が、または何が行うのかを示します。
- He swims every morning. (彼は毎朝泳ぎます。)
- The dog barked loudly. (その犬は大声で吠えました。)
- 状態の主体: be動詞やlinking verb(連結動詞)と組み合わせて、主語の状態や性質を示します。
- She is a doctor. (彼女は医者です。)
- The sky looks dark. (空は暗く見える。)
主語になれるもの
主語になることができる品詞や句はいくつかあります。
- 名詞: 最も一般的な主語です。人、場所、物、概念などを表します。
- Tokyo is a big city. (東京は大きな都市です。)
- Honesty is the best policy. (正直さが最善の策です。)
- 代名詞: 名詞の代わりとして使われます。
I, you, he, she, it, we, they
など。- They went to the park. (彼らは公園に行きました。)
- It is a beautiful day. (いい天気です。)
- 動名詞 (Gerund): 「動詞の-ing形」が名詞の役割を果たし、「〜すること」という意味になります。
- Swimming is good exercise. (泳ぐことは良い運動です。)
- Reading books is my hobby. (本を読むことが私の趣味です。)
- 不定詞 (Infinitive):
to + 動詞の原形
の形で、名詞の役割を果たし、「〜すること」という意味になります。- To travel is his dream. (旅をすることが彼の夢です。)
- To learn a new language is challenging. (新しい言語を学ぶことは難しい。)
- 名詞句 / 名詞節: 複数の単語がまとまって主語の役割を果たすこともあります。
- The man in the black jacket is my teacher. (黒いジャケットを着たその男性が私の先生です。)
- What he said was not true. (彼が言ったことは真実ではなかった。)
主語と動詞の一致 (Subject-Verb Agreement)
主語の数(単数か複数か)に合わせて動詞の形を変える必要があります。
- 単数主語 → 単数動詞
- He eats an apple.
- The cat is sleeping.
- 複数主語 → 複数動詞
- They eat an apple.
- The cats are sleeping.
主語は文の「誰が」「何が」を担う、文の出発点となる要素です。この主語が明確であることで、文の意味がはっきりと伝わります。
不定詞の意味上の主語について知ろう
不定詞の意味上の主語(Semantic Subject)とは、文の主語ではないにもかかわらず、不定詞の動詞が行う動作の主体となる人や物のことです。不定詞の動作主が文の主語と異なる場合に、それを明確にするために使われます。

意味上の主語の表し方
意味上の主語は、主に以下の2つの形で表されます。
1. for + 目的格
この形は、不定詞の動作主を特定するための最も一般的な方法です。特に、不定詞が形容詞や名詞を修飾する場合によく使われます。
- It is easy to learn English.
- この文では、誰が英語を学ぶのかが不明瞭です。
- It is easy for him to learn English.
- 「彼にとって」英語を学ぶことが簡単である、というように、
to learn
の動作主がhim
であることを明確にしています。
- 「彼にとって」英語を学ぶことが簡単である、というように、
2. of + 目的格
この形は、人の性質や性格を表す形容詞(kind
, generous
, stupid
, foolish
, brave
, clever
など)が文の主語(It
)の後にある場合にのみ使われます。
- It was very kind of you to help me.
- 私を助けたのは
you
であり、その行為が「親切だった」というあなたの性質を表しています。
- 私を助けたのは
- It was stupid of me to forget my keys.
- 鍵を忘れたのは
me
であり、その行為が「愚かだった」という私の性質を表しています。
- 鍵を忘れたのは
文の主語と意味上の主語が同じ場合
不定詞の動作主が文の主語と同じである場合は、意味上の主語を明示する必要はありません。
- I want to go home.
- 「帰る」のは文の主語である
I
なので、for me
をつける必要はありません。
- 「帰る」のは文の主語である
まとめ
形 | 使われる場面 | 例 |
for + 目的格 | 一般的な状況で、不定詞の動作主を明確にする時。人の性質・性格以外の場合。 | It is difficult for them to solve the problem. |
of + 目的格 | 人の性質や性格を表す形容詞(kind , brave など)の後。 | It was brave of him to save the child. |
不定詞の意味上の主語について深く知ろう
不定詞は、述語動詞ではないことから、文法上直後その主語となるものがない。しかしながら、動詞を含んでいる関係により、意味上の主語がある。
不定詞の意味上の主語を示さない場合
・It is important to love people.
(人々を愛することが重要である。)
・His answer is to prove the trueth.
(彼の答えは、真実を証明しているのだ。)
・I would like to be a teacher. (名詞的用法)
(私は、先生になりたい。)
・I have many friends to sing a song with. (形容詞的用法)
(私は、一緒に歌を歌う友達がたくさんいる。)
・I saved money to take a trip. (副詞的用法)
(私は、旅行をするためにお金を節約している。)
不定詞の意味上の主語の表し方
・My mother adviced me to study abroad.
(書き換え)⇒My mother adviced me that I should study abroad.
(私の母は、私に留学するように助言した。)
・I think this answer is me to be wrong.
⇒I think that this answer is wrong.
(私は、この答えが間違いだと思っている。)
・It is important for students to think themselves.
(生徒が、自分自身で考えることは大切である。)
・The boy keep learning English for his family to take a trip.
(その男の子は、家族が旅行に行くために継続して英語を学んでいる。)
・In order for examinees to take the test, everyone keep silent.
(受験者がテストを受けるため、全員が黙っている。)
不定詞の基礎・基本①「to不定詞と原形不定詞」について
形容詞などの働きもし、主語の人称や数によって変化する動詞のことを「準動詞」といい、「不定詞、分詞、動名詞」の3種類がある。
不定詞には「to不定詞」と「原形不定詞」の2種類がある。
「to不定詞」について
「to不定詞」とは、「to+動詞の原形」の形をとるものであり、文中で「名詞」・「形容詞」・「副詞」の役割を果たす。
それぞれの用法を「名詞的用法」・「形容詞的用法」・「副詞的用法」と表現することが多い。
・I want to drink something.
(何か飲み物が欲しい。)「飲むことがしたい」
・To speak English is difficult.
(英語を話すことは難しい。)
・It is important to tell the truth.
(真実を話すことは大切である。)
・I want something hot to eat.
(私は、何か暖かい食べ物が欲しい。)「食べるための何か暖かいもの」
・I have a big game to be a champion.
(私は、優勝するための大きな試合がある。)
・I bought the book to write a letter.
(私は、手紙を書くためにその本を買いました。)
・To speak Einglish, I have to practice more and more.
(英語を話すために、私はより多くの練習をしなければならない。)
それぞれの用法は正式には、「名詞」・「形容詞」・「副詞」の内どの役割をするかによって分類をするのだが、<to+動詞の原形>が「~すること」・「~するための」・「~するために」のうちどの訳をすると当てはまるかによって分離することで、大方の分類ができる。
不定詞の基礎・基本①「to不定詞と原形不定詞」について | てばっち教育研究所 (tebatch.com): 【不定詞:文法】不定詞の意味上の主語について深く学ぼう!(練習問題付き)不定詞の基礎・基本②「不定詞の否定・副詞の位置」
不定詞を否定する場合は、「to不定詞」の前に「not」を用いることで表現する「not to + 動詞の原形」
原形不定詞の場合も同様に「原形不定詞」の前に「not」を用いることで表現する「not 原形不定詞」
・I try not to sleep tonight.
(今夜は寝ないようにしてみます。)
・I cannot swim in the sea.
(私は、海で泳ぐことができません。)
・My mother made me not play the video game.
(私の母は、テレビをさせないようにした。)
「~しないように」と表現する場合は「not to + 動詞の原形」を用いるのではなく「in order not to + 動詞の原形」で表現する場合が多い。
・In order not to fail the test, we must study hard.
(テストで落第しないように、私たちは一生懸命に勉強をしなければならない。)
・Be careful not to fall.
(落ちないように気を付けて。)
※「be careful」や「take care」など相手に気を使う場合は、「not to + 動詞の原形」で表現することがある。
不定詞の完了形「完了不定詞」について
不定詞の完了形は、「 to have + 過去分詞」で表現する。「完了不定詞」ともいう。
・He wants to have been a great doctor for ten years.
(彼は、10年間もの間、偉大な医者になりたがっていた。)
・She cannot have changed the city.
(彼女がその街を変えたはずがない。)
完了不定詞の用法について(時制)
述語動詞に示されている「時制」よりも前の「時制」を表現する。
・My groung mother seems to have taken care of me.
(私の祖母が、私の世話をしていたようだ。)
完了不定詞の用法について(助動詞)
・You must have broken the window.
(あなたが、窓を割ったに違いない。)
助動詞の「may, might, must, cannot, could, should, ought to」を用いて表現することが多い。
・You should have been my house yesterday.
(昨日私の家にいればよかったのに。)
助動詞の「shouldやought to」を用いて表現することで遺憾を表現することができる。
不定詞の完了形「完了不定詞」について | てばっち教育研究所 (tebatch.com): 【不定詞:文法】不定詞の意味上の主語について深く学ぼう!(練習問題付き)不定詞の意味上の主語 練習問題

不定詞の意味上の主語(for + 目的格
または of + 目的格
)を理解するための練習問題です。それぞれの文脈に合った形で不定詞の動作主を補いましょう。
英文和訳 (English to Japanese)
指示: 以下の英文を日本語に訳しなさい。
- It’s impossible for me to finish this project alone.
- It was kind of her to help us with our homework.
- It’s necessary for the students to study hard for the exam.
- It was careless of you to forget the documents.
- I think it’s a good idea for us to go together.
- It’s important for everyone to wear a mask.
- It was brave of them to enter the burning building.
- It is difficult for him to learn Japanese.
- It’s important for the company to improve its services.
- It was silly of me to believe such a story.
和文英訳 (Japanese to English)
指示: 以下の日本語をfor + 目的格
または of + 目的格
を使って英文に訳しなさい。
- あなたが真実を話すことは重要だ。
- 彼が宿題を終えることは難しい。
- 彼女がそんなことを言うとは、親切だ。
- 私たちが明日出発するのは良い考えだ。
- 彼がその重い箱を運ぶのは大変だった。
- 君がその秘密を守ることは賢明だ。
- 彼らが勝つことは不可能だ。
- 私があんな間違いを犯すなんて愚かだった。
- 彼らが時間通りに着くことは不可欠だ。
- あなたが私たちを助けてくれるとは、親切だった。
解答例
英文和訳の解答例
- 私にとって、このプロジェクトを一人で終えることは不可能です。
- 私たちを宿題で手伝ってくれるなんて、彼女は親切でした。
- 生徒たちが試験のために一生懸命勉強することは必要です。
- 書類を忘れるなんて、あなたは不注意でした。
- 私たちが一緒に行くのは良い考えだと思います。
- みんながマスクを着用することは重要です。
- 燃えている建物に入るなんて、彼らは勇敢だった。
- 彼にとって、日本語を学ぶことは難しい。
- 会社にとって、サービスを改善することは重要だ。
- そんな話を信じるなんて、私は愚かだった。
和文英訳の解答例
- It is important for you to tell the truth.
- It is difficult for him to finish his homework.
- It is kind of her to say such a thing.
- It’s a good idea for us to leave tomorrow.
- It was tough for him to carry the heavy box.
- It is wise of you to keep the secret.
- It is impossible for them to win.
- It was foolish of me to make such a mistake.
- It is essential for them to arrive on time.
- It was kind of you to help us.