助動詞「can」について
「can」は、英語で最も頻繁に使われる助動詞の一つです。主に能力、可能性、許可、依頼といった意味を表します。
1. 能力 (Ability)
「〜できる」「〜することができる」という意味で、話し手や主語が何かを行う能力を持っていることを示します。
- I can swim. (私は泳ぐことができる。)
- She can speak three languages. (彼女は3つの言語を話すことができる。)
- He can play the guitar very well. (彼はギターをとても上手に弾くことができる。)
過去の能力を表す場合は「could」を使います。
- When I was young, I could run fast. (私は若かった頃、速く走ることができた。)
2. 可能性 (Possibility)
「〜かもしれない」「〜の可能性がある」という意味で、物事が起こりうる可能性を示します。断定ではなく、あくまで可能性を述べるときに使います。
- It can be very cold in winter here. (ここでは冬にとても寒くなることがある。)
- Accidents can happen easily. (事故は簡単に起こりうる。)
- That can‘t be true. (それは本当であるはずがない。) ← 否定形で「〜のはずがない」という強い否定の可能性を表す。
3. 許可 (Permission)
「〜してもよい」「〜していい」という意味で、誰かに何かをする許可を与える、または許可を求める際に使います。より丁寧な許可の表現としては「may」や「could」があります。
- You can use my phone. (私の電話を使ってもいいですよ。)
- Can I sit here? (ここに座ってもいいですか?)
- You can go home now. (もう家に帰っていいですよ。)
4. 依頼 (Request)
「〜していただけませんか?」という意味で、相手に何かをお願いする際に使います。より丁寧な依頼の表現としては「could」や「would」があります。
- Can you help me? (手伝っていただけますか?)
- Can you open the window? (窓を開けていただけますか?)
「can」の否定形と疑問形
- 否定形: cannot (短縮形は can’t)
- I cannot swim. / I can’t swim. (私は泳ぐことができません。)
- 疑問形: 主語の前に「can」を置きます。
- Can you swim? (泳ぐことができますか?)
- Yes, I can. / No, I can’t. (はい、できます。/ いいえ、できません。)
「be able to」との違い
「can」と「be able to」はどちらも「〜できる」という意味ですが、いくつか違いがあります。
- 「can」: より一般的で、能力や可能性を簡潔に表します。
- 「be able to」:
- 一時的な能力や特定の状況で何かを達成できたことを表す際によく使われます。
- 「can」では表現できない時制(未来形、現在完了形など)で能力を表現できます。
- I will be able to speak English fluently next year. (来年には流暢に英語を話せるようになるでしょう。)
- She has been able to walk since last month. (彼女は先月から歩けるようになっています。)
canの類似表現について知ろう
「can」の類似表現は、文脈によって使い分けられます。主に能力、可能性、許可、依頼の4つの意味合いで見ていきましょう。

1. 能力 (Ability)
「〜できる」という能力を表す際に、「can」の代わりに使える表現です。
- be able to: 最も一般的な「can」の代替表現です。「can」は現在や一般的な能力を表すのに対し、「be able to」はより広い時制(未来、完了形など)で使え、特定の状況での能力を示すことが多いです。
- I can swim. (私は泳げる。)
- I will be able to swim next year. (来年には泳げるようになるだろう。)
- Despite the injury, he was able to finish the race. (怪我にもかかわらず、彼はレースを完走できた。)
- know how to do: 知識やスキルがあって「〜のやり方を知っている」「〜できる」という意味合いです。
- I can play the guitar. (私はギターが弾ける。)
- I know how to play the guitar. (私はギターの弾き方を知っている。)
- have the ability to do: ややフォーマルな表現で、「〜する能力がある」と明確に伝えたい場合に使います。
- She has the ability to solve complex problems. (彼女は複雑な問題を解決する能力がある。)
2. 可能性 (Possibility)
「〜かもしれない」「〜の可能性がある」という可能性を表す際の類似表現です。
- may: 「can」よりも「〜かもしれない」という不確実な可能性や推量を表す際に使われます。「can」は「〜し得る」「〜であり得る」という客観的な可能性に近いニュアンスです。
- It can be cold in winter. (冬は寒くなることがある。)
- It may be cold tomorrow. (明日は寒いかもしれない。)
- might: 「may」よりもさらに可能性が低い場合に使うことがあります。
- It might rain later. (後で雨が降るかもしれない。)
- could: 過去の可能性や、現在の仮定的な可能性を表します。「can」の過去形としても使われますが、現在の可能性について「〜かもしれない」という控えめな推量を表すこともあります。
- That could be true. (それは本当かもしれない。)
- be possible (for A) to do: 「〜することが可能である」という客観的な可能性を示します。
- It is possible to finish this work today. (今日この仕事を終えることは可能だ。)
3. 許可 (Permission)
「〜してもよい」という許可を表す際の類似表現です。
- may: 「can」よりも丁寧でフォーマルな許可の求め方、または与え方です。
- Can I come in? (入ってもいい?)
- May I come in? (入ってもよろしいですか?)
- be allowed to do: 規則や権限によって「〜することが許されている」という意味です。
- You can park here. (ここに駐車していいですよ。)
- You are allowed to park here. (ここに駐車することが許可されています。)
- be permitted to do: 「be allowed to do」とほぼ同じ意味ですが、よりフォーマルな表現です。
- Smoking is not permitted in this area. (この区域での喫煙は許可されていません。)
4. 依頼 (Request)
「〜していただけませんか?」という依頼を表す際の類似表現です。
- could: 「can」よりも丁寧な依頼の表現です。
- Can you help me? (手伝ってくれる?)
- Could you help me? (手伝っていただけませんか?)
- would: 「could」と並んで丁寧な依頼の表現です。「could」は能力的に可能かを尋ねるニュアンスも少し含むのに対し、「would」は相手の意思を尋ねるニュアンスが強いです。
- Would you open the door, please? (ドアを開けていただけますか?)
- will: 少し直接的な依頼ですが、親しい間柄で使われます。
- Will you close the window? (窓を閉めてくれる?)
canの慣用表現を確認しよう
助動詞「can」を使った慣用表現はたくさんあり、日常会話で頻繁に登場します。いくつか代表的なものをご紹介します。

1. can't wait (to do something)
- 意味: 「〜するのが待ちきれない」「〜するのが楽しみでたまらない」
- 例文:
- I can’t wait to see you! (あなたに会うのが待ちきれない!)
- She can’t wait for her vacation to start. (彼女は休暇が始まるのが楽しみでたまらない。)
2. can't help ~ing
/ cannot but do
- 意味: 「〜せずにはいられない」「〜せざるを得ない」
- 例文:
- I can’t help laughing at his jokes. (彼のジョークには笑わずにはいられない。)
- I cannot but agree with him. (彼に同意せざるを得ない。)
- ※
cannot but do
はよりフォーマルな表現です。
3. cannot ~ too ...
- 意味: 「どんなに〜してもしすぎることはない」「いくら〜しても十分ではない」
- 例文:
- You cannot be too careful when driving. (運転中はどんなに注意してもしすぎることはない。)
- We cannot thank you too much for your help. (あなたの助けにはいくら感謝してもしすぎることはありません。)
4. You can say that again.
- 意味: 「全くその通りだ」「本当にそうだね」
- 例文:
- “It’s really hot today.” “You can say that again!” (「今日は本当に暑いね。」「全くその通りだ!」)
5. a can of worms
- 意味: 「複雑で解決困難な問題」「厄介な問題」
- 直訳すると「虫の缶詰」で、開けるとたくさんの虫が出てきて収拾がつかなくなる様子を表します。
- 例文:
- Don’t open a can of worms by bringing up that topic. (その話題を持ち出して厄介な問題を引き起こさないでくれ。)
6. carry the can (for someone/something)
- 意味: 「(誰かの/何かの)責任を負う」「非難を受ける」
- 例文:
- He always ends up carrying the can for his team’s mistakes. (彼はいつもチームのミスの責任を負うことになる。)
7. in the can
- 意味: 「(仕事などが)完了して」「(映画などが)撮影済みで」
- 例文:
- The project is finally in the can. (プロジェクトはついに完了した。)
- The movie is in the can and ready for release. (その映画は撮影済みで公開準備ができている。)
8. no can do
- 意味: 「できない」「無理だ」
- インフォーマルな表現で、依頼を断る際に使われます。
- 例文:
- “Can you help me move this heavy box?” “Sorry, no can do.” (「この重い箱を動かすのを手伝ってくれる?」「ごめん、無理だ。」)
9. bite off more than one can chew
- 意味: 「自分の能力以上のことを引き受ける」「無理をする」
- 直訳すると「噛める以上のものを噛み切る」という意味です。
- 例文:
- I think I’ve bitten off more than I can chew with this new project. (この新しいプロジェクトで無理をしすぎたようだ。)
「can」の用法には、大きく分けて「能力」・「可能性」・「許可」の3つに分類することができる。
その中でも、「可能性」を表現する範囲が最も広く、「能力」や「許可」の意味を包括する場合もある。
canを深く知ろう
①可能性「~することがある。」
「能力」や「許可」の両方共の意味を包括することができる。
否定文では、「~あるはずがない。」、「~ということはあり得ない。」という意味を成す。
Even the monkies can fall down from trees.
(猿も木から落ちることもある。)
The docotor cannot tell a lie.
(その医者が嘘をつくはずがない。)
Can I believe Tom?
(トムを信じれるなんてありえるだろうか。)
※反語として「そんなことがあるわけがない。」と意味が追加される。
You cannot have answered this question. Because I only know the question is wrong.
(あなたがその問いの答えを知ったはずがない。なぜなら私だけがその問いが間違えだと知っているからだ。)
②能力・可能 「~できる。」
・My grand father can do a backflip.
(私の祖父は、バク転ができる。)
・I can meet you when the war stops.
(戦争が終わったら会えるよ。)
※「周囲の事情や状況により、できるようになる(可能になる)。」という意味が含まれている。
③許可「~してもよい。」
同じ日本語の訳として「may」が使われることもあるが、「can」の方が口語的である。否定形のcannot (can’t)は「禁止
」を表現することができる。「may not」や「mustn’t」と比べても口語的である。
・Can I study here? 「許可」
(こちらで勉強してもいいでしょうか。)
・You can’t play catch in this park. 「禁止」
(この公園では、キャッチボールをしてはいけない。)
・Can I help you? 「申し出」
(お手伝いしましょうか。 / 何かお困りですか。)
・Can you send me an e-mail? 「許可」
(私にメールを送ってくれませんか。)
※助動詞は、可能・必然・義務・許可・依頼などの意味をもち、表現する際に動詞に意味を付け加えることにより表現を豊かにする。会話や文章で助動詞を用いて表現する(される)には欠かせない存在である。
「can」に関する練習問題

英文和訳 (Translate the following English sentences into Japanese.)
- My little brother can now ride a bicycle without help.
- It can get very humid in summer in Japan.
- Can I borrow your pen for a moment?
- Can you please tell me the way to the station?
- I can’t wait to try the new restaurant downtown.
- You can’t be too careful when handling sharp objects.
- He tried his best, but he just couldn’t make it on time.
- Don’t open that topic; it might be a can of worms.
- After hours of negotiation, the deal was finally in the can.
- I’m afraid I can’t help you with that request.
和文英訳 (Translate the following Japanese sentences into English.)
- 私は少し英語を話すことができます。
- この問題はもっと簡単なはずがない。
- ここで写真を撮ってもいいですか?
- 窓を開けていただけますか?
- 彼のジョークには笑わずにはいられなかった。
- 運転中はどんなに注意してもしすぎることはありません。
- この新しいプロジェクトで、私は自分の能力以上のことを引き受けた気がします。
- 彼の英語は上達したけど、まだとても流暢とは言えません。
- (何か困難なことに対して)私たちならできる!
- ごめんなさい、それは無理です。
解答 (Answers)
英文和訳
- 私の弟は今、助けなしで自転車に乗ることができます。
- 日本の夏は非常に湿気が多くなることがあります。
- 少しあなたのペンを借りてもいいですか?
- 駅への道を教えていただけますか?
- ダウンタウンの新しいレストランを試すのが待ちきれません。
- 鋭利なものを扱うときは、どんなに注意してもしすぎることはありません。
- 彼は最善を尽くしましたが、時間通りに間に合いませんでした。
- その話題に触れないでください。それは厄介な問題になるかもしれません。
- 何時間もの交渉の後、取引はついに完了しました。
- 申し訳ありませんが、そのご要望にはお応えできません。
和文英訳
- I can speak a little English.
- This problem cannot be easier. / This problem can’t be easier.
- Can I take a picture here?
- Can you open the window, please?
- I couldn’t help laughing at his jokes.
- You cannot be too careful when driving.
- I feel like I’ve bitten off more than I can chew with this new project.
- His English has improved, but he still can’t speak it very fluently.
- We can do it!
- Sorry, no can do. / I’m sorry, I can’t do that.